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社団法人日本電気技術者協会 電気技術解説講座 文字サイズ変更ヘルプ
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LED照明の特徴 天野技術士事務所 天野 尚

1.はじめに

 白色LEDは、21世紀の新光源として今後の展開が大きく期待されている。現在一般照明として広く使用されている蛍光ランプ器具の置換えには、更なる機能や性能の向上が望まれる。ここでLED照明の特徴として、それの持つ長所と現状の課題をまとめてみる。

2.LED照明の特長

1)長寿命

 LEDは固体発光方式のため、従来の光源のようにフィラメントの断線により不点灯になることはない。しかし、使用材料の劣化などにより、点灯時間の経過に沿って徐々に光量が減少する。LED照明の寿命は図1.に示すように、光束維持率が初期の70%になるまでの点灯時間としている。

 白熱電球が1,000から2,000時間、蛍光灯が6,000から10,000時間程度に対して、LEDは40,000時間程度となるように設計されている。このように長寿命で器具寿命まで交換不要で省メインテナンスの特長より、屋外照明、工場照明、非常照明に利用される。

2)LEDのコンパクト性

 LEDの発光部は1mm角以下とサイズが小さいため、器具を小型化・薄型化する事ができる。従って、従来照明では難しかったショーケースの内側やディスプレイ棚への取りつけが可能である。

3)少ない有害光線

 蛍光灯には紫外線の漏洩があり、白熱電球は多くの赤外線を放射する。これらの紫外線や赤外線は被照射物に化学的、熱的障害を与える。一方、LEDはこれらの有害光線を殆ど放射しない。貴重品や高級品、生鮮食料品などの店舗照明、美術照明・病院照明の用途に向いている。

4)器具効率

 照明の効率は一般に照明率(=照明領域に入射する光束÷ランプ光束)で表される。更に、照明率=固有照明率×器具効率に要素分解できる。図2.にこれらの関係を示した。

 白熱電球や蛍光灯などの従来光源では、一部の例外を除けば、光は全方向へ放射されている。照明器具には、これを所望の方向へのみ配光する為に反射板などが設けられているが、この部分で必ず損失が生じる。一般に光源から放射される光のうちで利用されている(器具効率)のは、50~80%程度である。一方、LEDは光源が小さく、更に光が前面のみ放射されているので、器具効率は80~90%になる。

5)発光体の効率

 白色LEDの発光効率は年々改善されており、現在の照明は高出力タイプの実用品レベルでは80lm/W以上の効率である。

 LED照明推進協議会は、白色LEDの発光効率について図3.の発光効率ロードマップ(2008年4月(改訂))を発表した。そこで、一般照明用白色LEDの発光効率は、2015年頃、150lm/Wに到達すると予測している。

6)低温動作特性 温度安定性、高速点灯

 図4.に蛍光灯とLEDの光束の温度特性比較を図示する。

 蛍光灯は低温で効率が著しく低下する。このため、寒冷地の屋外や冷凍・冷蔵施設内では、保温対策を施した器具が用いられている。LEDは半導体なので、温度が低いほど明るくなる傾向があり、蛍光灯では不都合な低温環境での使用が可能になる。即ち、街路灯、防犯灯、冷蔵庫・冷凍庫内照明への利用が有効である。

 良好な温度特性により、蛍光灯と違ってスイッチオンした瞬間に最大光量の発光になる。トイレや階段・廊下照明の用途に適した特長である。

7)その他

 水銀フリー,鉛フリー製造工程であり環境負荷物質の規制に対応している。また、誘虫指数が蛍光水銀灯の1/5~1/10と小さいので虫が集まり難く清潔な照明である。

3.LED照明の課題

1)高出力化と放熱

 市販されている青発光・黄色蛍光体励起白色LEDのエネルギ-効率(光出力の電気的入力に対する割合)は20~30%である。即ち、発光以外の約70%のエネルギーは最終的には熱になり、LEDチップおよび周辺材料の温度を上昇させる。それがランプ寿命を短くする。

 温度上昇を小さくするためには、器具の表面積を大きくして放熱効果を上げる必要がある。すなわち、高出力・長寿命・小型化は相反する難解な課題である。

 図5.に電球型LEDランプの放熱構造を示す。

 LEDを多数密接して配置するモジュールなどではかなり高温になる場合があり、放熱フィンを付けるなどの冷却装置も必要となり強制空冷する事になる。

 今後、LED素子の高出力化が進むに連れて、効率の向上による発熱の低減と放熱方法の改善が大きな問題となる。

 発熱量の低減には、LEDを駆動する電源部の高効率化も重要である。回路方式による差があるが、現状では15~30%の損失が発生している。LED光源部自身の効率が改善されるにつれて、電源の損失も注目されるであろう。

 LED照明器具の熱設計は極めて重要なテーマで入念な放熱設計が必須である。

2)演色性

 白色LEDに広く用いられている方式は、青色LEDと蛍光体からなる構成で、2つの光を混合して擬似的な白色を得る方法である。この結果、図6.のスペクトル図で示す様に赤色、青緑色の部分に谷があり特定の色成分を含んだ被照射物の色再現性が悪くなる。

 色再現性を演色性といい平均演色評価数で表わす。白熱電球は最高値100で、3波長形蛍光灯は84であるが、LEDは70程度である。しかし、蛍光体の改善(赤・緑色の蛍光体など)により演色を改善した高演色タイプ(演色評価指数90)や電球色タイプ(演色評価指数80)がある。

3)色バラツキ

 一般照明用白色LEDには色(色度)の厳格な管理が求められている。色度は発光素子、蛍光体、封止樹脂など構成する複数の要素の掛け合わせで決まるため、その制御には複雑・厳密な制御管理が必要になる。更に、LEDチップは複数個並べて使用される事が多いため、チップ個々の色度バラツキが問題になる。蛍光灯は製品間の色度バラツキが極めて小さく、人の目には識別できないレベルにあるが、現在の白色LEDは製造ロット間バラツキが大きく、人の目で色の違いがはっきり識別されるレベルである。照明の品位を落とさないためには、このバラツキを許容出来ず、完成品を測定して適合製品を選別している。これが照明用白色LEDの低価格化への課題となっている。出荷前の選別を不要とする製造工程が望まれている。

4.おわりに

 照明の省エネがCO2削減に果たす割合は大きく、従来の光源を置きかえる電球型LEDや直管型のLEDが注目されている。

 白熱ランプの電球型LEDランプへの切り替えは徐々に進行しているものの、直管型LEDランプについては検討中のテーマが多い。既存の蛍光ランプとの互換性などで、標準化や規格の制定などが進められている。関連の情報を参照願いたい。

参考文献

 1.LED照明推進協議会 ホームページ

 2.「LED素子の照明への負うようと課題」松下電器株式会社 照明R&Dセンター 杉本 勝 BE建築設備2008年1月号

 3.JIS Z8113 「照明用語」屋外照明等ガイドライン

 4.「LED照明の最新技術と課題」中川 靖夫 省エネルギー Vol.61 No.10(2009)

 5.「LEDの基礎知識」東芝ライテック株式会社 ホームページ

 6.「LEDの発光原理」パナソニック ホームページ

 7.高出力・低色度ばらつきLEDパッケージ製造法 宮崎 康弘 他 松下電工技法(Vol.55 No.2)



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