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社団法人日本電気技術者協会 電気技術解説講座 文字サイズ変更ヘルプ
Presented by Electric Engineer's Association
電験問題「パワーエレクトロニクスの応用」

 富士テクノサーベイ(株) 山崎 靖夫

1. 直流チョッパ

 直流チョッパは、半導体スイッチング素子のオン・オフを繰り返すことで直流電圧を直接変化させる装置である。出力の直流電圧が入力の直流電圧より低くなるものを降圧チョッパ(バックコンバータ)、出力の直流電圧が入力の直流電圧より高くなるものを昇圧チョッパ(ブーストコンバータ)という。第1図に降圧チョッパを、第2図に昇圧チョッパの原理図をそれぞれ示す。

第1図 降圧形チョッパ第1図 降圧形チョッパ
第2図 昇圧形チョッパ第2図 昇圧形チョッパ
 なお、降圧と昇圧の両方ができる直流チョッパは、昇降圧チョッパといわれる。

 ここでは降圧チョッパを取り上げ直流チョッパの動作を解説する。

 電源電圧をE、スイッチング素子のオン時間をTon、オフ時間をToffとすれば、その出力は第3図に示すようになる。したがって、直流出力電圧Eoは(1)式に示すようになる。

第3図 第3図 
formula001 [V] (1)
formula001 [V] (1)

 (1)式のTon / (Ton + Toff) を通流率という。

 スイッチング素子で直流をオン・オフすると出力の電圧・電流が断続的になる。このためリアクトルLSとダイオードDFによって平滑化する。このDFをフリーホイリングダイオード(環流ダイオード)という。

2. 無効電力補償装置

 無効電力補償装置は、電力用半導体素子を利用して電力系統に発生する無効電力を調整する装置で、受動形と能動形とがある。この装置を用いることで無効電力の変動による電圧変動や瞬時電圧低下の防止ができる。

(a)受動形無効電力補償装置

 受動形無効電力補償装置は、サイリスタ、リアクトルとコンデンサを組み合わせた第4図に示す構成をとる。第4図(a)はリアクトル制御形と呼ばれるもので、サイリスタの点弧角を制御することでリアクトルLに流れる電流が変化し、無効電力を制御することができる。第4図(b)はコンデンサ・リアクトル併用制御形と呼ばれる。この方式は、装置の構成がやや複雑となるが、進相無効電力及び遅相無効電力の連続制御が可能である。また、高調波の発生も少ないという特徴がある。

第4図 無効電力補償装置第4図 無効電力補償装置

(b)能動形無効電力補償装置

 能動形無効電力補償装置は、電流形コンバータまたは電圧形コンバータを用いた他励式と自励式がある。

(1)他励式

 コンバータの転流電圧には、電源電圧が用いられる。他励式は、遅相無効電力だけを制御することができる。

(2)自励式

 自励式は、自己消弧形のGTOサイリスタなどのスイッチング素子を用い、任意の位相の電流または電圧を発生することで進相無効電力及び遅相無効電力を連続的に制御することができる。

3. アクティブフィルタ

 アクティブフィルタは、電力用半導体素子のスイッチング能力を利用することで高調波を低減する装置である。この装置の原理を第5図に示す。アクティブフィルタは、基本波に含まれる高調波電流をCT(変流器)で検出し、この高調波電流と極性が異なる同じ大きさの電流を流すことで高調波を低減する。

第5図 アクティブフィルタ第5図 アクティブフィルタ

4. 無停電電源装置

 近年の電子機器、電子計算機などは電力系統に発生した瞬時電圧低下や停電などによって動作の停止、データの破損などの影響を受けることがある。無停電電源装置は、これらの影響を防ぐため電圧の波形や大きさ、周波数を一定に維持することができる電源装置である。

 無停電電源装置には、主として次の2種類がある。

(a)浮動充電方式

 浮動充電方式は、第6図に示すように、いったんコンバータ(順変換装置)で直流に変換してバッテリに充電しつつ、インバータ(逆変換装置)で一定電圧、一定周波数の交流を出力するものである。通常は、バッテリの自己放電分を補う程度の充電を行わせ、停電時にバッテリからインバータへ電力を供給する。

第6図 無停電電源装置第6図 無停電電源装置

(b)スイッチ切替方式

 常時は、切替スイッチで商用交流を直接出力しているが、停電時には切替スイッチを切り替えて、バッテリからインバータを経由して電力を供給する簡便な方式である。このため、切り替え時に瞬断が起こる。

例題1

 第7図のような直流チョッパによる直流電動機の制御で、パルス幅変調方式(PWM方式)によって直流電動機を減速する場合、直流チョッパの出力電圧vの波形として、正しいのは次のうちどれか。

第7図 第7図 

 [答](3)

例題2

 静止形無効電力補償装置に関する次の記述のうち、誤っているのはどれか。

 (1)無効電力の変動による電圧変動の防止ができる

 (2)コンデンサ・リアクトル併用制御形は、進相電力及び遅相電力の連続制御が可能である

 (3)リアクトル制御形は、コンデンサ・リアクトル併用制御形に比べて高調波の発生が少ない

 (4)自己消弧形のGTOサイリスタなどのスイッチング素子を用いた自励式は、進相無効電力及び遅相無効電力を連続的に制御できる

 (5)他励式無効電力補償装置は、コンバータの転流電圧として電源電圧を用いる

 [答](3)



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