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社団法人日本電気技術者協会 電気技術解説講座 文字サイズ変更ヘルプ
Presented by Electric Engineer's Association
電験のための数学(3)比例式と指数 東京電気技術高等専修学校講師  福田 務

 比例式とか指数などというと、難しく考える人がいるが、電験の問題の計算では、解答者は気付かない間に、比例式や指数という考え方を平気で使っている。今回はこれらの考え方がどのように問題解答に応用されているか、効率よく使うための方法を基本に戻って学ぶことにしよう。

1 比例と比例式との関係

 比例式としてなじみの深いのは、導体の抵抗Rは長さlに比例し、断面積Sに反比例するという式 formula001 formula001 であるが、この式でlが2倍になると抵抗も2倍になる。つまり長さの増す割合と同じ割合で抵抗も増加する。これが比例である。また、断面積が2倍になると抵抗は1/2になる。つまり断面積の倍数の反対(逆にした数)になるので、反比例と呼んでいる。

 ところで、抵抗率ρはなぜ比例に関係しないのかと考えるかもしれないが、これは数学上では比例定数と呼ばれるもので、もともと比例というのは割合だけを考えているので、実際の数値は考慮しなくてよいのである。この理由をもう少していねいに説明しよう。

 いま、同じ断面積で、長さだけがl1の導体とl2の導体があるとする。長さl1のほうの抵抗をR1l2のほうの抵抗をR2とすれば、

      formula002 formula002 formula003 formula003 となるが、

formula004
formula004

 となって抵抗率ρは消えてしまう。つまり長いほうが抵抗も大きく、その割合は長さの割合になる。

 比例という言葉の場合には、実際の数字を直接には問題にしていない。

 しかし、比例式を用いて導体の抵抗は何Ωあるかということになると、銅線であるか、アルミ線であるか、鉄線であるかによって、長さや断面積が同一であっても、導体のオーム数はみな異なるはずである。そこで、それぞれの材料のl=1A=1のときの値が分かれば、これをもとにして、一般に長さがlで、断面積がAの材料の抵抗が分かるはずである。つまり、

formula005
formula005

 これが抵抗率であり、比例定数というものの存在する意義がある。比例式は形の上では分数式であるが、割合の概念という面で応用する場合、大切な内容を持っていることを事例をもとに示してみよう。

2 合比の理を用いて分岐回路の電流の式を求める

 〔例題1〕 第1図に示す回路の全電流 formula006 formula006 が分岐回路にどのような割合で分流するかを、比例式の考え方を用いて示せ。

 第1図の分岐回路の電流は、

      formula007 formula007 formula008 formula008 であるから、

formula009
formula009

 これを比例式という立場でみると電流の比例関係と、抵抗の比例関係が逆になっている。これは反比例の関係である。つまりI1I2より大きくなるためには、R2のほうがR1より大きくなければならない。このことをもっとはっきりさせるために式を書き換えてみる。

 比例計算で面白いのは「合比の理」といわれるもので、 formula010 formula010 の比例式の両辺に1を加えて計算を進めてみると、

      formula011 formula011  通分して  formula012 formula012

 ここで第1図を見るとI1I2=Iであるから、

formula013 から
formula013 から
formula014    (1)
formula014    (1)

 また、電流 formula015 formula015 については、

      formula016 formula016  から  formula017 formula017  であるから同様に、

       formula018 formula018  から  formula019 formula019

 よって、

formula020    (2)
formula020    (2)

 この(1)、(2)式は、全電流Iが分岐回路にどのような割合で分流するかを示す公式としてよく用いられる。

 (参考) 合比の理に対して除比の理がある。これは例えばa/b=c/dの比例式があるとき、両辺から1を引いて、

   formula021 formula021   ゆえに  formula022 formula022

とすることである。

3 累乗と指数の関係

 累乗(るいじょう)とは、同じ数または同じ文字を次々に掛けた積をいう。累は重ねるという意味である。指数とは累乗において、その数なり、文字なり、式なりを何個掛け合わせたかを示す数のことで、指数はその数を、数字または文字の右肩に小さく書いて示す。式の場合は括弧でくくって括弧の右肩に書く。

 〔指数法則〕

formula023
formula023

 これらの指数法則が成り立つことは formula024 formula024 formula025 formula025 とに実際の数字を入れてみればすぐ分かる。

 (参考) 例えば、いまm=4n=2として、

formula026
formula026

 もしm=2n=4とすると、

formula027
formula027

 となるが、このときも公式をそのまま用いると、

formula028
formula028

 つまりマイナスの指数は逆数(分子を1とする分数)を表すものと約束すればよいことになる。しかし、一つ約束が必要である。その約束とは指数が0になるときである。 formula029 formula029 となる。これは formula030 formula030 formula031 formula031 で割った結果を表しているので答が1になるのは当然であるが、公式を用いて計算すると奇妙な指数ゼロという数が現れるので、一応理屈を抜きにして formula032 formula032 ということで全部の場合を公式化しているのである。

 また、指数が分数のときは、指数の分子はn乗、分母はn乗根の意味である。

 例えば、 formula033 formula033 = formula034 formula034 formula035 formula035 formula036 formula036 = formula037 formula037 =5

4 指数計算にかかわる電験の過去の問題例

 〔例題2〕 真空中にある2個の電子の間隔が0.1〔μm〕であるときの両電子の電荷間に働く力をf1〔N〕とし、1個の電子に加わる重力をf2〔N〕とするとき、f1 / f2の値として正しいのは次のうちどれか。ただし、電子の電荷は1.6×10-19 C、電子の質量は9.1×10-31 kg、重力の加速度は9.8m/s2とし、また、 formula038 formula038 F/mとする。

 (1)5.13×1013    (2)1.82×1014    (3)2.58×1015

 (4)3.47×1016    (5)4.85×1017

 〔解答〕 2個の電荷間に働く力f1はクーロン力であるから、電荷e〔C〕とし、電荷間の距離をr〔m〕とすれば、

formula039
formula039
formula040
formula040

 また、1個の電子に加わる重力f2は電子の質量m〔kg〕と重力の加速度g〔m/s2〕の積を求めればよい。

     f2=mg=9.1×10-31×9.8=8.918×10-30

 したがって、

formula041
formula041

 〔答〕(3)

 〔例題3〕 第2図のように真空中の3m離れた2点A、Bにそれぞれ3×10-7Cの正の点電荷がある。A点とB点とを結ぶ直線上のA点から1m離れたP点にQ〔C〕の正の点電荷を置いたとき、その点電荷にB点の方向に9×10-3Nの力が働いた。この点電荷Q〔C〕の値として、最も近いのは次のうちどれか。

 ただし、真空中の誘電率を formula042 formula042 〔F/m〕とする。

   (1)1.2×10-9    (2)1.8×10-8    (3)2.7×10-7

   (4)4.4×10-6    (5)7.3×10-5

 〔解答〕 点電荷Q〔C〕に働く力は、A点とB点のもつ電荷(3×10-7C)とそれぞれの距離からの合力fである。A点からの距離は1m、B点からの距離は2mであるが、これをそれぞれr1r2とすると、題意から次の式が成り立つ。

 合力f9×10-3Nであるから、

formula043
formula043

 この式を整理すると、

formula044
formula044

 したがって、

formula045
formula045

      = formula046 formula046 formula047 formula047

 〔答〕(4)

 〔例題4〕 水力発電所の水圧管内での単位体積当たりの水が保有している運動エネルギーは、水の密度ρ〔kg/m3〕、水の速度をv〔m/s〕とすると、 formula048 formula048 〔J/m3

で表される。この場合ρv2の単位の積がエネルギーの単位〔J/m3〕になることを示せ。

 〔解答〕 単位についての次元を確かめると、次のようになる。

formula049    formula050 formula050
formula049    formula050 formula050

 * 1N=1 formula051 formula051 である。



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