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社団法人日本電気技術者協会 電気技術解説講座 文字サイズ変更ヘルプ
Presented by Electric Engineer's Association
電験問題「法規 施設管理」(3) 池内 大典

 法規の計算問題はほとんどが施設管理の項目で出題されている。主なものとして水力発電所の流水の利用と送受電電力量、変電所や需要設備におけるコンデンサーによる力率改善と各種の損失軽減、変圧器の損失と全日効率、送電線の風圧加重・弛み、配電線路の電圧降下・短絡電流、需要率・不等率・負荷率の活用などがある。
 今回は需要率・不等率・負荷率の活用についてポイントを解説する。

1.需要設備容量と供給設備容量 

 需要設備は、例えば電灯は夜間、電動機などは昼間を主として使用され、暖房と冷房は季節によって需要状態が異なる。また、1需要家においても、その需要設備が常にすべて運転されるわけでなく、その一部は休止状態にあり、さらに同一種類の需要家でもその使用時刻が一致するわけではない。また、需要設備が常時全負荷で使用されることは少ない。

 こうしたことから、供給設備容量は需要設備容量の100%でなく何割かの負荷で供給できる設備とすればよいことになる。

 このような需要設備と供給設備の関係を表す係数に需要率、不等率、負荷率がある。

2.需要率

  需要家に設置された電気機器の設備容量の合計は各機器に明示されているので直ぐに分かるが、実際に使われる最大需用電力(一般には1時間の平均電力)は前章で述べたように、電気機器を1日中使っているわけではなく、すべてが全負荷で働いていることもないので、設備容量の合計=全設備容量より小さい。これらの関係を表す係数を需要率といい、( 1 )式のように表される。

formula001 〔%〕                 (1)
formula001 〔%〕                 ( 1 )

 例えば、それぞれの機器の定格容量と実際の最大需用電力の関係を第1図とすると、

formula002 〔%〕
formula002 〔%〕

 このように、需要率は100%以下である。

 ここで、需要率は100%以下であることと定義並びに第1図が重要である。

3.不等率

 各需要家の1日の電力の使われ方は例えばA、B需要家の場合第2図に示すように最大需用電力の発生時刻は必ずしも一致しないので、両者を合成した合成需用電力を点線でします。このときの合成最大需用電力と個々の需要家の最大需要電力の関係を不等率といい( 2 )式のように表される。

formula003         (2)
formula003         (2)

  第2図から不等率を求めると

 合成最大需用電力は点線から500kW、A、B需要家の最大需用電力の合計は200+400=600 kWから

formula004
formula004

 このように、不等率は必ず1以上になる。

 ここで、不等率は1以上であることと定義並びに第2図のように個々の需要家の最大需用電力図を活用して合成最大需用電力を点線のように描いて求めることが重要である。

4.負荷率

 電力の使用状態は第3図の負荷曲線に示すように1日24時間の時刻で変化し、さらに季節によっても変化する。ある期間中の需用電力の平均値=平均需用電力とその期間中の最大需用電力との比をパーセントで表したものを負荷率といい( 3 )式で表される。

formula005 〔%〕                  (3)
formula005 〔%〕                 (3)

 ここで第3図の日負荷曲線から負荷率を求めると、最大需用電力は10kW、平均需用電力は図を活用して

 1日の使用電力量kWh=電力×時間の合計を求め、1日24時間で割り算して求めることができますので、

      平均需用電力= formula006 formula006 〔kW〕

formula007 〔%〕
formula007 〔%〕

 このように負荷率は100%以下になります。

 ここで、負荷率は100%以下であることと定義並びに第3図を活用して平均需用電力を求めることが重要である。

 次に、負荷率には総合負荷率があります。これは複数の需要家を対象とするもので(4)式のように表されます。

formula008 〔%〕                 (4)
formula008 〔%〕                 (4)

4.需要率・不等率・負荷率の活用

 需要率・不等率・負荷率・総合負荷率の定義( 1 )( 2 )( 3 )( 4 )式を使って最大需用電力、合成最大需用電力、平均需用電力の算出に活用することが重要です。

 ・最大需用電力=全設備容量×需要率

 ・合成最大需用電力=個々の需要家の最大需要電力の合計/不等率

 =(個々の需要家の全設備容量×需要率)の合計/不等率

 ・平均需用電力=最大需用電力×負荷率

 =全設備容量×需要率×負荷率

 ・総合負荷率=合成平均需用電力/合成最大需用電力

5.過去の試験問題

 過去において、需要率・不等率・負荷率に関する問題は文章問題、計算問題を含めてほぼ毎年度出題されている。今回は主な問題のポイントを解説する。

( 1 )総合負荷率についての文章問題

 次の文章は、複数の需要家を総合した場合の負荷率(以下、「総合負荷率」という。)と各需要家の需要率及び需要家間の不等率との関係についての記述である。これらの記述のうち、正しいのは次のうちどれか。

  ただし、この期間中の各需要家の需要率はすべて等しいものと仮定する。

 (1)総合負荷率は、需要率に反比例し、不等率に比例する。

 (2)総合負荷率は、需要率には関係なく、不等率に比例する。

 (3)総合負荷率は、需要率及び不等率の両方に比例する。

 (4)総合負荷率は、需要率に比例し、不等率に反比例する。

 (5)総合負荷率は、需要率に比例し、不等率には関係しない。

 解答

 総合負荷率は5章を利用し問題では各需要家の需要率はすべて等しいとしているので

 総合負荷率=合成平均需用電力/合成最大需用電力

         =合成平均需用電力/( 個々の需要家の全設備容量×需要率の合計/不等率 )

         =合成平均需用電力×不等率/個々の需要家の全設備容量×需要率の合計

         =合成平均需用電力×不等率/個々の需要家の全設備容量の合計×需要率

 から総合負荷率は不等率に比例し需要率に反比例する。

 回答 ( 1 )

( 2 )負荷曲線を用いた不等率、総合負荷率の計算問題

 図のような負荷曲線を持つA工場及びB工場があるとき,次の(a)及び(b)に答えよ.

 (a)A及びB両工場の需要電力の不等率の値として,正しいのは次のうちどれか.  

   (1)0.9 (2)1.0 (3)1.1 (4)1.2 (5)1.3

 (b)A及びB両工場の総合負荷率[%]の値として,正しいのは次のうちどれか・

   (1)91 (2)92  (3)93 (4)94 (5)95

 ( a )の解答

 第4図を活用して両工場の負荷曲線の和を計算すると第5図のような合成負荷曲線となる。図から、

 合成最大電力=5000kW、各工場の最大需用電力の和=4000+1500=5500

  不等率は( 2 )式から

formula009
formula009

 回答 ( 3 )

 ( b )の解答

  第5図から両工場の合成負荷の平均需用電力を計算すると

formula010 kW
formula010 kW

 合成最大電力=5000kW

 から(4 )式に導入すると総合負荷率は

formula011 〔%〕
formula011 〔%〕

  回答 ( 5 )

 ポイントは問題図を活用して第5図を作成して計算することである。

( 3 )需要率、不等率、負荷率と総合負荷率の総合計算問題

 AとBの二つの変電所を持つ工場がある。ある期間において,A変電所は負荷設備の定格容量の合計が500〔kW〕,需要率90〔%〕,負荷率60〔%〕であり,B変電所は負荷設備の定格容量の合計が300〔kW〕,需要率80〔%〕,負荷率50〔%〕であった。二つの変電所間の不等率が1.3であるとき,次の(a)及び(b)に答えよ。

 (a)工場の合成最大需要電力〔kW〕の値として,最も近いのは次のうちどれか。

   (1)346   (2)450   (3)531  (4)615  (5)690

 (b)工場を総合したこの期間の負荷率〔%〕の値として,最も近いのは次のうちどれか。

   (1)55.0  (2)56.5  (3)63.4  (4)73.5  (5)86.7

 ( a )の解答

 以下のようにA、B変電所に分けて下部に需要率、負荷率、不等率を表示してそれぞれを計算します。

  A変電所 B変電所
設備容量〔kW〕 500 300
需要率 〔%〕 90 80
最大需用電力〔kW〕 500×0.9=450 300×0.8=240
負荷率〔%〕 60 50
平均需用電力〔kW〕 450×0.6=270 240×0.5=120
不等率 1.3
合成最大需用電力〔kW〕 formula012 formula012

 回答 ( 3 )

 ( b )の解答

 工場の総合負荷率は( 4 )式から

formula013 〔%〕
formula013 〔%〕

 回答 ( 4 )

 解答に当たっては、負荷設備は水平に並べ需要率等は縦方向にして各項目を計算するのが効率的でミスも少なくなると思われる。

 ( 4 )供給設備容量、消費電力量の計算問題

 負荷設備(低圧のみ)の容量が600〔kW〕,需要率が60〔%〕の高圧需要家について,次の( a )及び( b )に答えよ。

 ( a )下表に示す受電用変圧器バンク容量〔kVA〕が選択できる

変圧器のバンク容量〔kVA〕
375 400 500 550 600

 この中から,この需要家に設置すべき必要最小限の変圧器バンク容量〔kVA〕として選ぶとき,正しいのは次のうちどれか。ただし,負荷設備の総合力率は0.8とする。

   (1)375  (2)400  (3)500 (4)550   (5)600

 ( b )年負荷率を55〔%〕とするとき,負荷の年間総消費電力量〔MW・h〕の値として,最も近いのは次のうちどれか。ただし,1年間の日数は365日とする。

   (1)1665  (2)1684  (3)1712  (4)1734  (5)1754

 ( a )の解答

 受電用変圧器バンク容量K〔kVA〕は(1)式を用いて最大需用電力〔kW〕と力率から

formula014  kVA
formula014  kVA

 回答 450以上で最も近い500 ( 3 )

 ( b )の解答

 負荷の年間総消費電力量W〔MWh〕は平均需用電力×年間時間であるから

 W=600×0.6×0.55×365×24×10-3 =1734 MWh

 回答 ( 4 )

 解答に当たっては力率、定められた期間の時間換算を大切にすることです。

 以上から需要率・不等率・負荷率の定義に基づき、5章のように活用することが大切です。

以上



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