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社団法人日本電気技術者協会 電気技術解説講座 文字サイズ変更ヘルプ
Presented by Electric Engineer's Association
電気設備技術基準・解釈の解説〔その6〕電気使用場所の施設の規制(その1)

電気使用場所の施設は一般家庭からビル・工場の屋内配線から電気使用機器に至るまで、最も身近な施設であり、これらの施設から感電や火災を発生させないため、詳細な基準が規定されている。本講〔その6〕電気使用場所の施設の規制では、(その1)として、使用場所によってどのような施設の電圧と配線工事方法が採用できるかについて紹介する。

1.電気使用場所の規制の概要

(1)電気使用場所の区分

 電技省令では第1表に示すように場所を区分して、配線方法と使用できる電気機械器具を規定している。配線工事にあっては、粉じんの多い場所、可燃性ガスなどのある場所の規制が一般の場合よりもきびしく規制されている。その反面、工事完了の日から4か月以内に限り使用される臨時工事的なものは、使用電圧が300V以下の電圧の場合に限り電線相互間などにおいて緩和措置がある。このほか300V以下の低圧屋内配線に限り、建設現場の照明用配線として、コンクリートの中に直接ケーブルを埋め込んで行う工事が1年間の臨時工事として認められている(電技解釈第180条)。

(2)特殊施設の規定

 ○ 電技省令では特殊施設として次の表に掲げるような施設について、施設方法と使用機器を規定している。電技解釈では小勢力回路の施設(電技解釈第181条)と出退表示灯回路の施設(電技解釈第182条)も特殊施設としての位置付けとなっているが、これらの回路は電圧が60V以下であるが、制御装置や出退表示灯の回路における配線であり、工場やビル内の配線として一般に施設されているものである。第2表に掲げられている特別低電圧照明回路の施設は、最近追加された施設で、電圧24V以下の裸線を使用できる照明設備である。

(3)低圧屋内の配線方法と施設場所

 配線の施設方法については、屋内配線について詳細に規定しており、屋外や屋側の配線は、屋内の規定と異なる事項について規定している(電技解釈第230条)。したがって、ここでは屋内配線についてその規制の概要について紹介する。工事方法ごとの具体的な規制については、別に紹介する。

 配線の施設は電技省令第56条に施設状況と電圧に応じて感電と火災のおそれがないように施設することと、電技省令第57条に配線の使用電線は使用上十分な強度及び絶縁性能を有するものであること特別の場合(電技解釈第183条により施設する場合)を除いて裸電線の使用を禁止している。

(a)低圧屋内配線の工事方法と特徴

 低圧屋内配線は第3表の掲げてある工事方法によることになっており、それぞれの特徴があるので、その施設場所に応じた工事方法を選ばなければならない。一般の使用場所では合成樹脂管工事、金属管工事、可とう電線管工事及びケーブル工事はすべての場所に認めている。

 その他の工事方法については、場所と電圧の区分により、第4表に示されているように規制が行われている。セルラダクト工事は大型の鉄骨造の建造物の床構造材として使用する波形デッキプレートの溝を電線の入れ場所として使用する工事で、大型ビルに用いる特殊な工事である(電技解釈第174条)。

(b)特殊な場所の配線方法

 特殊な場所には、第5表に示されているような特に危険性が大きな場所の工事方法は、電技解釈第175条~第179条に同表に示す工事方法しか認められていない。金属管工事とケーブル工事は最も信頼性の高い工事方法としてすべての場所に認められている。

 特殊場所の工事で重要なことはその場所がどの特殊場所に該当するかを判定することである。そしてここでは表示されていないが、使用できる電気使用機械器具が場所ごとに規制されていることである。

(4)高圧・特別の屋内配線の施設

 屋内電気工作物の電圧は、原則として低圧であるが、大容量の機器を使用する場合は、高圧以上の配線も必要となることから、その施設方法が定められている(電技解釈第168条)。

(a)高圧屋内配線の施設

 高圧の屋内配線の工事は、がいし引き工事(乾燥した場所であって展開した場所に限る。)及びケーブル工事により施設することが定められている(電技解釈第202条第1項)。

 電線は、ケーブル工事の場合は高圧ケーブルを使用し、がいし引き工事の場合(乾燥した展開した場所に限る。)は直径2.6mmの軟銅線以上の強さ及び太さの高圧絶縁電線、特別高圧絶縁電線又は引下げ用高圧絶縁電線を用いる。そのほか工事の主要な点は、第6表のとおりである。

(b)特別高圧の屋内配線の施設

 特別高圧の屋内配線は使用電圧が100kVのものまで認められていて、工事はケーブル工事に限られている。ケーブルは鉄製又は鉄筋コンクリート製の管やダクトなどの防護装置に収めて施設し、これらの金属製部分にはA種接地工事を施さなければならない。ただし、人が触れるおそれがない場合はD種接地工事を施せばよい。特別高圧屋内配線と低圧電線、管灯回路の配線、高圧電線との離隔距離は、60cm以上(相互の間に堅ろうな耐火性の隔壁を設ける場合は、60cm以下でもよい。)、弱電流電線、水管、ガス管などとは接触しないようにする(電技解釈第169条)。