このページにおける、サイト内の位置情報は以下です。


社団法人日本電気技術者協会 電気技術解説講座 ヘルプ
Presented by Electric Engineer's Association
保安管理業務の外部委託制度について (社)日本電気技術者協会 総務担当理事 内田實太郎

はじめに

自家用電気工作物の設置者(以下、「設置者」という。)は、公共の安全や環境の保全を図るため、電気の保安を確保する義務があり、電気設備を自主的に保安することが求められています。
 原則、設置者は、自社の従業員の中から電気主任技術者免状を有する者のうちから電気主任技術者(以下、「主任技術者」という。)として選任する必要があります。しかし、保安管理業務外部委託承認制度により、一定の要件を満たし、所轄産業保安監督部長の承認を受けた場合は主任技術者の選任をしないことができます。
 以下に、その概要を解説します。

保安管理業務外部委託承認制度の概要

 電気事業法第43条第1項の規定により、事業用電気工作物を設置する者は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督をさせるため主任技術者を選任しなければならないとされています。しかし、電気事業法施行規則(以下、「規則」という。)第52条第2項の規定により、自家用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督に係る業務(以下、「保安管理業務」という。)の委託契約を、一定の要件に該当する者と締結しているものであって、保安上支障がないものとして所轄産業保安監督部長の承認を受けた場合には、主任技術者を選任しないことができるとされています。
 保安管理業務外部委託承認制度の対象となる事業場は、次のとおりです。

(1) 電圧7,000V以下で連系等をする、出力2,000kW未満の発電所(水力発電所、火力発電所、太陽電池発電所及び風力発電所に限る。)の建設工事現場

(2) 電圧7,000V以下で連系等をする、出力2,000kW未満の発電所(水力発電所、火力発電所、太陽電池発電所及び風力発電所に限る。)を管理する事業場

(3) 電圧7,000V以下で連系等をする、出力1,000kW未満の発電所(前号(1)に掲げるものを除く。)の設置の建設工事現場

(4) 電圧7,000V以下で連系等をする、出力1,000kW未満の発電所(前号(2)に掲げるものを除く。)を管理する事業場

(5) 電圧7,000V以下で受電する需要設備の建設工事現場

(6) 電圧7,000V以下で受電する需要設備を管理する事業場

(7) 電圧600V以下の配電線路を管理する事業場

保安管理業務の委託契約先の要件

 保安管理業務の委託契約先(個人事業者(電気管理技術者)又は法人(電気保安法人))の要件は規則第52条の2に規定され、具体的な要件としては平成15年経済産業省告示第249号(直近の改正_平成28年3月22日)に概ね次のようなことが定められています。詳細については、本告示を参考にして下さい。

(1) 委託契約先の個人又は保安管理業務に従事する者(以下、「保安業務従事者」という。)は、所定の実務経験の有する有資格者であること。

  • 第一種電気主任技術者免状の交付を受けている者 3年又は2年※1
  • 第二種電気主任技術者免状の交付を受けている者 4年又は3年※1
  • 第三種電気主任技術者免状の交付を受けている者 5年又は4年※1
    (ただし、交付を受けた以前の期間は上記の1/2に相当する期間)

    ※1設備容量が300kVA以下のPF・S型のキュービクル式受電設備のみを受託する場合、実務に従事した期間を1年減ずる事ができる。(経済産業省告示)

    など

(2) 委託契約先の事業者は、点検に必要な機械器具を有すること。
(機械器具の例)

  • 絶縁抵抗計
  • 電流計
  • 電圧計
  • 低圧検電器
  • 高圧検電器
  • 接地抵抗計
  • 騒音計
  • 振動計

  など

(3) 委託先契約の電気管理技術者又は電気保安法人の保安業務従事者であって申請事業場を担当する者(以下「保安業務担当者」という。)が担当する事業場数は、第1表に掲げる換算係数の合計が33未満であること。

 

第1表 経済産業省告示で定める換算係数(一例)
事業場 換算係数
需要設備 低圧 0.3
高圧 設備容量が64kVA未満 0.4(小規模需要設備0.2)
設備容量が64kVA以上  150kVA未満 0.6
設備容量が150kVA以上 350kVA未満 0.8
設備容量が350kVA以上 550kVA未満 1.0
設備容量が550kVA以上 750kVA未満 1.2
設備容量が750kVA以上 1,000kVA未満 1.4
設備容量が1,000kVA以上1,300kVA未満 1.6
以下省略 以下省略

 

(4) 委託先契約の電気管理技術者又は保安業務担当者(以下、「電気管理技術者等」という。)は、自家用設備に応じた頻度で点検を行うこと。
(例)

  • 需要設備にあっては毎月1回以上
  • 燃料電池発電所にあっては毎月1回以上
  • 太陽電池発電所にあっては6ヶ月に1回以上

  など

4.保安管理業務外部委託承認の基準

 保安管理業務外部委託の承認に関しては規則第53条第2項に規定されており、外部委託承認に係わる要件、電気管理技術者等に対する契約面、業務体制等の具体的な基準については、主任技術者制度の解釈及び運用(内規)(直近の改正_平成28年12月26日)に次のようなことが定められています。詳細については、本内規を参考にして下さい。

(1) 個人事業者の兼業等

保安管理業務の計画的かつ確実な遂行に支障が生じないことを担保するため、保安管理業務の内容の適切性及び実効性について厳格に審査するとともに、個人事業者が他の職業を兼務していないか審査される。

(2) 法人のマネジメントシステム

保安管理業務の計画的かつ確実な遂行に支障が生じないことを担保するため、保安管理業務の内容の適切性及び実効性について法人の社内規程等に明確に規定されていることとし、定期的に保安管理業務のレビューを行い適切な改善を行うこととしている。また、保安管理業務の遂行体制や保安業務担当者の他の職務の兼務について審査する。

(3) 法人の保安管理業務担当者等の明確化

委託契約書に保安業務担当者を明確にする旨が記載されており、かつ、保安業務担当者及び当該保安業務担当者が指示して点検を行わせる保安業務従事者(以下「保安業務担当者等」という。)の氏名及び生年月日並びに主任技術者免状の種類及び番号が委託契約書の別紙等で定められていること。

(4) 委託契約書に明記された者による保安管理業務の実施等

保安管理業務の実施等について、次の必要事項が委託契約書等から確認できること。

  設置者は事業場において保安管理業務を行う者と面接等を行い、委託契約書に明記された電気管理技術者等であることを確認すること。また、保安管理業務の結果報告を受け、その記録を確認保存すること。

◆ー家用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の確保を、保安規程の基づく点検等の基本原則に従って行うこと。

 電気管理技術者等は、工事期間中の点検、月次点検または年次点検の結果から技術基準への不適合のおそれがあると判断した場合は、修理、改善等を設置者に指示または助言すること。

ぁ々事期間中の点検を自家用電気工作物の施工状況及び技術基準への適合状況について確認を行うこと。

ァ〃郤‥生,鮗,陵弖錣暴召辰胴圓Δ海函

 (イ)点検項目

  • 電気工作物の異音、異臭、損傷、汚損等の有無

  • 電線とそれ以外の物との離隔距離の適否

  • 機械器具、配線の取付け状態及び過熱の有無

  • 接地線等の保安装置の取付け状態

 

 (ロ)測定

  • 電圧値の適否及び過負荷等の確認のため、電圧、負荷電流測定

  • 低圧回路の絶縁状態の確認のため、B種接地工事の接地線に流れる漏えい電流測定

 

 (ハ)問診

  • 設置者及びその従事者に、日常巡視等において異常等がなかったか否かの問診を行い、異常があった場合には、電気管理技術者等としての観点から点検を行う。

    など
 

年次点検を月次点検の要件に加えて、次の要件に従って行うこと。

 (イ)1年に1回以上行う。

 (ロ)測定又は試験

  • 低圧及び高圧電路の絶縁測定

  • 接地抵抗測定

  • 保護継電器の動作特性試験及び保護継電器と遮断器の連動動作試験

  • 非常用予備発電装置の起動停止

  • 蓄電池設備のセルの電圧、電解液の比重、温度等の測定

  • PCB管理標準実施要領供ィ押ァ複院砲坊任欧觜眷仕戰櫂蟇化ビフェニル含有電気工作物に該当するかどうかを確認

    など

低圧電路の絶縁状況の適確な監視が可能な装置を有する需要設備については、警報発生時に適切な処置を行うこと。

事故又は故障発生時には、適切な処置を行うこと。設置者に電気事故報告するよう指示すること。また再発防止対策を設置者に指示又は助言を行うこと。

高圧一括受電するマンションでは住居部分の点検を行うこと。

(5)連絡責任者の選任

   設置者は、電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安のため必要な事項を委託契約の相手方に連絡する責任者が選任されていること。

(6)事業場への到達時間

   保安管理業務担当者の主たる連絡場所が、事業場に2時間以内に到達できる場所にあること。



前のページへ このページのトップへ