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社団法人日本電気技術者協会 電気技術解説講座 文字サイズ変更ヘルプ
Presented by Electric Engineer's Association
電験のための数学(5)逆三角関数を用いて位相差を調べる 東京電気技術高等専修学校講師   福田 務

 交流回路の電圧と電流の位相差は回路のインピーダンス(R,L,Cの構成)から求めることができるが、それはちょうど、三角関数の値から角を求めることに相当する。角の大きさが与えられれば、その角に対する三角関数の値は決定するが、逆に三角関数の値がわかっているとき、それに対する角の大きさを求めたいときがある。逆三角関数とは、三角関数の値(例えばsinθの値)を知って角(θ)を求めることである。今回はこの逆三角関数について学習しよう。

1 逆三角関数の性質

 sinθ=xに適するθを   θ=sin―1x  またはθ=arc sinxと書く。

 このsin―1は、あくまで記号であってアークサイン(arc sin)と呼び、xの逆三角関数という意味である。したがって正弦、余弦、正接の逆三角関数は

  sinA=xならば   A=sin― 1x  またはA=arc sin x

  cosB=yならば  B=cos―1y  またはB=arc cos y

  tanC=zならば  C=tan -1z  またはC=arc tan z

のように書き表わす。

2 一つのxに対して、無数のθがある

 ところが、同じxの値に対する角θの値は一つではなく、たくさんある。例えば、sinθ= formula001 formula001 では第1図のようにθが60°、120°、420°、480°・・・のとき、すべてsinθ formula002 formula002  となる。

 このように三角関数において、sinθ=sin(θ+2π)=sin(θ+2nπ)であったことのちょうど裏返しとして、一つのxに対して、(2πより小さい角+2nπ)だけのものが存在するが、n=0の場合を主値といって、電気の試験問題では主値を求めることで十分である。 

 主値はそれぞれの三角関数において、角の範囲に制限をつけたものである。

3 演習問題

 問題1 つぎの式で示すθ1θ6の主値を求めよ。

formula003          formula004 formula004        formula005 formula005
formula003          formula004 formula004        formula005 formula005
formula006      formula007 formula007        formula008 formula008
formula006      formula007 formula007        formula008 formula008

 〔解〕 

formula009       formula010 formula010        formula011 formula011
formula009       formula010 formula010        formula011 formula011
formula012      formula013 formula013      formula014 formula014
formula012      formula013 formula013      formula014 formula014

 問題2 次式の各項は第1象限の角を表わすとして和を求めよ。

formula015
formula015

 〔解〕

formula016     formula017 formula017      formula018 formula018  
formula016     formula017 formula017      formula018 formula018  

  したがって

formula019
formula019

 問題3  第2図のような抵抗と誘導リアクタンスの直列回路に1Aの交流電流を流したとき、電流と電圧の位相差はいくらか。ラジアンおよび度で示せ。

 〔解〕 第3図のベクトル図より

formula020 となるので  formula021 formula021  
formula020 となるので  formula021 formula021  

 問題4  第4図のような抵抗と誘導リアクタンスの並列回路に24Vの電圧を加えたとき、電圧Vと電流Iの位相差を求めよ。また、電流の大きさはいくらか。

 〔解〕 第5図のベクトル図より

formula022   となるが、ここでは位相差を求めればよい。
formula022   となるが、ここでは位相差を求めればよい。

 位相差 formula023 formula023

 電流Iの求め方

 各電流をI, IRIL とすれば

formula024             formula025 formula025
formula024             formula025 formula025
formula026
formula026

 (別解)

 インピーダンスZは

formula027
formula027
formula028
formula028

 問題5  第6図のような抵抗と容量リアクタンスの並列回路に240Vの電圧を加えたとき、流れる電流Iの大きさおよび位相角を求めよ。

 〔解〕  formula029 formula029

formula030
formula030
formula031 formula031 formula032 formula032

4 並列回路のアドミタンスと位相差 〔参考〕

回  路 アドミタンス〔Y〕 電圧と電流の位相角
(1)R-L並列回路
  第7図(a)
formula033 formula033 formula034 formula034
電流が遅れる
(2)R-C並列回路
  第7図(b)
formula035 formula035 formula036 formula036
電流が進む
(3)R-L-C並列回路
  第7図(c)
formula037 formula037  formula038 formula038
formula039 formula039 formula040 formula040 電流が進む
formula041 formula041 formula042 formula042 電流が遅れる

 アドミタンス formula043 formula043 と位相角φとの関係は、第8図(a) ,(b),(c)で与えられる

 問題6 第9図の回路において電流I1I2の位相差を求めよ。

 〔解〕I1の電源電圧に対する遅れ角をθ1とし、I2の電源電圧に対する進み角をθ2としてベクトル図を描くと第10図のようになる。

 第10図より   formula044 formula044 =(リアクタンス分)÷(抵抗)であるから、

formula045       formula046 formula046
formula045       formula046 formula046

 したがってI1I2の位相差θ

formula047
formula047


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