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社団法人日本電気技術者協会 電気技術解説講座 文字サイズ変更ヘルプ
Presented by Electric Engineer's Association
電験のための数学(7)交流回路の証明問題に三角公式を生かす 東京電気技術高等専修学校講師 福田 務

 前回では、三角関数の加法定理から一連の関連公式が数多く導かれることを証明したが、今回は、これらの関連公式を使って交流理論の定義の裏付けとなることの証明や、従来のベクトルでの証明の代わりを果たすこともできることを学ぶことにしよう。例題として、瞬時値の二乗の平均の平方根は実効値であるが、この値が formula001 formula001 になることの証明や平衡三相回路の各相を流れる電流の和が0になることの証明に、これらの関連方式をどう生かすかを説明する。

1 加法定理の関連公式は、広範囲に用いられる

 〔例題1〕 正弦波交流電圧 formula002 formula002 の実効値Eは、 formula003 formula003 で示されることを証明せよ。

 (解答)実効値の定義が、瞬時値の二乗の平均の平方根であることを知っていればそのとうりに三角関数の関連公式を展開していけばよい。

 解きかたの順序  

  ① 瞬時値   formula004 formula004  を二乗すると formula005 formula005

  ② ①式の formula006 formula006 の部分を、下記の2倍角の公式に置き換える

  〔2倍角の公式〕 formula007 formula007  よって formula008 formula008

  ③ よって瞬時値の式は  formula009 formula009

               formula010 formula010

  ④ ③式の平均を求めるとマイナスの部分 formula011 formula011 は1〔Hz〕の平均をとると0になる。

  ⑤ 結局③の平方根を求めると実効値Eは  formula012 formula012 E= formula013 formula013

 〔例題2〕平衡三相交流回路において、各相を流れる電流  formula014 formula014

   formula015 formula015     formula016 formula016 の和は   formula017 formula017

  になることを証明せよ。

 (解答)三角関数の関連公式を用いて、この証明をするためには、和を積になおす公式を使う必要があり、この公式を知らなければ答はオジャンになってしまう。しかし心配はいらない。加法定理にもどって公式をつくり直せばよい。ひとまず、この問題を解くための手順を示し、解答を求めることにしよう。

 解きかたの順序  

  ① まず  formula018 formula018 を求める。  formula019 formula019

  ② 和を積に直す公式(下記)にあてはめて、①式を変形する。

formula020
formula020

  ③  formula021 formula021

formula022
formula022

 この式で formula023 formula023 だから  formula024 formula024

  ④  formula025 formula025 の結果に formula026 formula026 をたす

   formula027 formula027

       formula028 formula028

 ここで formula029 formula029 であるから  formula030 formula030 となる

2 「例題2」で用いた公式を加法定理から導き出すには

formula031
formula031

 上の2式を左辺どうし、右辺どうし加えると

formula032
formula032

 ここで

  formula033 formula033  、 formula034 formula034  と置いてみればこの二つの式から

  formula035 formula035       formula036 formula036

 となるから、したがって

formula037
formula037

 ここで formula038 formula038  であるから

formula039
formula039

 となって formula040 formula040 の結果と同じになることがわかる。

 たくさんある公式をみな覚えていることはよいが、あやふやな記憶に頼るくらいなら、やや遠まわりでも以上のように加法定理に一度もどって確かめることも良い。

 〔例題3〕第1図の回路において、電圧 formula041 formula041 を加えたら、

  formula042 formula042 の電流が流れた。この回路の電力の平均値を求めよ。

 解きかたの順序   

  ① 電力の瞬時値を示す

formula043
formula043

  ② ①の式は積の形になっているので、積を和に変換する。

formula044
formula044

 ここで括弧の2項目の formula045 formula045 は1〔Hz〕の平均をとると0のなるので電力の平均値Pは

        P=EIcosθ〔W〕 となる。

3 例題3は余弦の加法定理の利用

 例題3の積を和に変換した公式は、つぎの余弦の加法定理の操作によって得られたものである。 

formula046         (1)
formula046         (1)
formula047         (2)
formula047         (2)

 (2)式から(1)式を引くと

formula048
formula048

 したがって

formula049
formula049

 〔例題4〕第2図のように、R〔Ω〕の抵抗、インダクタンスL[H]のコイルおよび静電容量C[F]のコンデンサを並列に接続した回路がある。 この回路に正弦波交流電圧e[V]を加えたとき、この回路の各素子に流れる電流

  formula050 formula050e[V]の時間的変化はそれぞれ第3図のようで、それぞれの電流の波高値は10A,15 A、5Aであった。回路に流れる電流i[A]の電圧

 e[V]に対する位相として正しいのはつぎのうちどれか。

 (1)30°遅れる   (2)30°進む   (3)45°遅れる

 (4)45°進む    (5)90°遅れる  

 解答と解説   

  各素子を流れる電流の瞬時値の和を求め加法定理を応用する。

formula051
formula051

 したがって

formula052
formula052

                    正解は(3)

 (補足)

 上式の変形は formula053 formula053 を応用している。

formula054
formula054

 1行目の式の変形によって、正弦の加法定理が利用でき、位相の遅れが読み取れる式が得られた。



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