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協会沿革

設立経緯

協会の創立に際しては、渋沢元治氏(元名古屋大学総長)、大山松次郎氏(東京大学教授)、埴野一郎氏(早稲田大学教授)等の電気工学の泰斗と、森秀氏(元逓信省電気局技監)、深尾栄四郎氏(同)等の電力保安行政の重鎮とが賛同して、「電気技術が産業、文化の基礎となり社会性、公益性、安全性はより高度なものとなり、電気技術者への公共的要請に応えて遺憾のない様にすると共に、技術の向上を図り、人格の研鎮と相俟って公益目的に邁進しなければならない」との趣旨によって設立されました。

協会の前身は「電気技術報国会」で、電気主任技術者の技術と地位の向上を目的として、同志相集い名誉会長に森秀氏を会長に埴野一郎氏を戴いて昭和15年12月15日に発足し、15年後に現在の協会に引き継がれました。


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設立前の状況

  1. 1. 逓試研究会の設立

    昭和12年電機学校の校友会(卒業生の会)で電験第1種、第2種合格者の有志が集まり、後進の指導のため逓試研究会(逓試は現在の電験のこと)を編成し、電験受験生を対象として指導雑誌「逓試研究](月刊)の発行を開始した。

  2. 2. 一・一会の設立

    昭和13年新橋第一ホテルに第1種合格者(旧第1級を含む)の母校的、あるいはクラス会的組織をもって、お互いに技術、人間性両面を研鑽すると同時に、一つの技術者集団として主任技術者の地位向上を図る機関を持とうということで、一・一会を設立した。

  3. 3. 電気技術報国会の設立

    昭和15年、前述の逓試研究会のメンバーが中心となって、名誉会長・森秀氏、会長・埴野一郎氏ということで「電気技術報国会」を設立した。

    昭和17年よりこの会の大きな仕事として「電力建設便覧」の編集に取り組み、第1冊(送電・配電・測定・材料・諸表を収容)が昭和21年に発刊となった。第2冊(電力計画・変電を収容)は昭和26年に出版された。更に第3冊(水力・火力発電)は当初の原稿に大幅な改定を加え、昭和30年に出版され、計画より13年を経過して全編完成出版された。


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協会の誕生

  1. 1. 社団法人「日本電気技術者協会」の誕生

    戦後となり「報国会」という名称ではということで、「電力技術同友会」という名称に変更した。その後更に法人化を目指し、名称を「日本電気技術者協会」と改めた。

    昭和29年12月20日神田の如水会館において、現・旧検定委員、電験功労者、並びに電験合格者を発起人として、「日本電気技術者協会」の設立総会を開催し、引き続き社団法人としての許可申請を行ない、昭和30年3月4日付で許可された。

    設立の趣旨としては、関係官庁並びに各関係会社等の支持と協賛の下に全合格者の消息を交流し、相互の協力と啓発を深め、今後受験する後進を助成して、ますますこの制度の社会的機能を高め、電気事業の発達と電気技術及び電気技術者の進歩向上に寄与することを目的とする。ということであった。

  2. 2. 支部の設立

    会員に対して有効な事業活動推進のため、各地域に支部設立の必要性が痛感され、順次全国に9つの支部が設立された。

    北海道支部
    昭和30年12月24日(土)札幌市町村会館にて発会式
    四国支部
    昭和31年3月18日(日)高松市千代田生命ビルにて設立総会
    関東支部
    昭和31年12月1日(土)神田如水会館にて設立総会
    中国支部
    昭和32年2月1日(金)設立
    九州支部
    昭和32年2月2日(土)福岡市電気ビルにて設立総会
    中部支部
    昭和32年4月23日(火)名古屋市愛知県職員会館にて設立総会
    東北支部
    昭和33年2月20日(木)仙台市仙台商工会議所にて設立総会
    関西支部 
    昭和34年2月28日(土)大阪市中央電気クラブにて設立総会
    北陸支部
    昭和34年2月28日(土)北陸電力会議室にて設立総会

    その後、地域事情より、中部支部では昭和44年に長野支所を設置した。

  3. 3. 日本電気技術者協会事務所

    当初、東京都千代田区神田錦町3-1の一隅に設けられていた事務所を、昭和33年1月に文京区小石川町1-1善隣会館内に移転し、その後同ビルの建替えで一時他所に移転したが、建替え完了後元に戻り、地番変更、ビル名変更があり現在の文京区後楽1-5-3 後楽国際ビル2階に居を構えている。


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協会の活動

  1. 1. 会誌電気技術者の発行

    昭和30年7月より「会報」という名前で機関紙を年数回発行し、昭和33年1月からは名称も「電気技術者」とし、毎月発行することとした。なおこのために編集委員会を設置して内容の充実に努め、現在に至っている。

    関係者の努力により、会誌は順調に発行が続けられ、平成10年12月には「創刊500号記念特集号」を発行した。

  2. 2. 「電気技術講座」の放送開始

    電気主任技術者第三種資格試験の受験者対象に学習指導を行うことを主な目的として、昭和32年6月、企画を当協会、放送を日本短波放送、テキスト発行をオーム社という分担で、電力会社をスポンサーとして「電気技術講座」の放送を開始した。その間、昭和37年5月、昭和42年6月と2度にわたり、電気技術者の資質の向上に尽くしたということで、時の通商産業大臣から日本短波放送に対し感謝状が贈られている。

  3. 3. 電気事業主任技術者制度五十年史の発行

    明治44年の電気事業法制定により施行された電気事業主任技術者制度の改正を経て、50年目を迎えるに当たり昭和37年10月25日東京目黒の八芳園で、政府、国会、官庁、公社、公団、現旧検定委員、電気事業者その他協賛団体会社、一般参加、報道関係を合わせ約300名出席のもと盛大に記念式典が挙行された。

    この記念事業の一つとして、「電気事業主任技術者制度50年史」の発行が取り上げられ、当協会の深尾会長を委員長として委員一同で関係資料の収集に努め、昭和40年7月に発刊した。貴重な資料となっている。

  4. 4. 関東支部の専業主任技術者部会の編成と解散

    昭和38年10月、一部の有志により関東支部内に自家用電気主任技術者専業部会が編成されたが、その後紆余曲折を経て、協会の組織としては認められず、昭和42年2月解散した。

    なお専業電気主任技術者の制度については、その後、法令、通達の施行により、電気管理技術者協会、電気保安協会の発足となった。

  5. 5. 会員の表彰

    昭和44年の創立15周年の年から表彰者選定委員会を設け、会長表彰を実施している。

    また、本協会第2代会長、樋口佐兵衛氏が、昭和38年会長を退任されるに当たり、本協会会員の知的、技術的向上に資することに役立てて頂きたいという趣旨で、金100万円を本協会に寄贈された。これを基金にして、創立15周年記念として、昭和44年より樋口賞を設け、会誌に優秀な論文を発表された会員にこの賞を贈呈している。これに加えて、昭和59年に北陸支部の松葉富蔵氏が金50万円を寄贈されたので、これも樋口賞の基金に加えて今日に至っている。

  6. 6. 海外視察旅行の実施

    昭和45年9月と昭和53年10月の2回団員9名で海外視察旅行を実施した。

  7. 7. 会員証の発行

    昭和49年より会員に対し、会誌に綴り込む形で会員証を発行している。

  8. 8. セミナーの開催

    昭和50年より昭和57年の間、年1~2回のペースで東京において、セミナーを開催した。

  9. 9. 自家用電気技術者ハンドブックの発行

    昭和39年に「自家用電気主任技術者ハンドブック」を発行した。創立30周年を記念して、これに全面的改定を加えて、昭和59年5月に「新版自家用電気主任技術者ハンドブック」を発刊した。

    更に自主保安体制の強化に対処することをねらいとして、平成6年に再度大改定を加えて、新刊が発行され、電気主任技術者の座右の書として利用されている。

  10. 10. 自家用電気工作物の保安規程のモデルを提案

    昭和40年6月に電気事業法が改正され、自家用電気設備設置者に対して、保安規定の作成及び届出義務が課せられたので、自家用電気工作物の保安規程のモデルを、昭和40年4月号に発表した。

  11. 11. 電気主任技術者実態調査の実施

    電気主任技術者実態調査委員会を設けて電気主任技術者実態調査を実施し、併せて会員の意見要望も集約して関係当局へ意見具申を行なった。

    第1回目の調査は昭和54年に実施した。この時は会員から電験制度に関する意見、要望、質問もかなり提出されたので、それらについては、関係当局に回答をお願いして、調査結果と共に会誌で会員に周知を図った。

    第2回目の調査は平成3年に実施し、調査結果を調査委員会で集約して、報告書として会誌に掲載した。なおこの時も会員から多くの意見要望が提出されたので、それを集約して関係当局へ意見具申を行なった。

  12. 12. 関係当局への要望、意見具申

    実態調査その他で会員の要望するところを把握して、関係当局に対して、要望書を提出したり、意見具申をしたりしてきた。

    (1)技術士試験についての要望書提出(昭和33年1月)

    電気事業主任技術者第1種及び第2種の有資格者で、専門の業務に通算7年を超える者が技術士試験を志望する場合は、予備試験を免除して貰うよう要望して受け入れられた。

    (2)電気事業主任技術者制度及び同検定制度の改正に関し陳情書提出 (昭和36年5月)

    4項目に亘り要望し、逐次実現を見た。

    (3)電験試験制度等について要望提出

    第2回目の電気主任技術者実態調査の結果、会員から要望のあった電気主任技術者制度、電気主任技術者国家試験及び電気主任技術者資格認定制度等に関する13項目の意見を纏めて、平成5年12月に、関係当局に意見具申し、殆どの意見が採用された。

  13. 13. 協会設立30周年記念式典の実施と「30年の歩み」発行

    昭和59年11月、協会設立30周年を迎えるに当たり、30周年記念式典を実施するとともに、この間のさまざまな事績、先人の汗と努力の跡を取りまとめた、「30年の歩み」を発刊した。

  14. 14. ホームページの開設

    平成12年1月よりホームページを開設し、会員への情報の提供、新入会員勧誘の一助としている。

  15. 15. 音声付き電気技術解説講座の開設

    平成15年8月31日、約46年間放送してきたラジオ短波放送による「電気技術講座」を終了した。

    これに続く新規事業として、電気技術に関心を持つ技術者を対象に実務に役立つ電気技術及び電気技術の動向に関する情報を提供するため、「音声付き電気技術解説講座」をホームページ上に試験的に開設した。平成16年度から本格運用に入り、「音声付き電気技術解説講座」数は、平成16年度末48講座、平成17年度末74講座、平成18年度末では、理論一般、計測・試験、発電・変電、送電・配電、受電設備、構内配線、機器材料、保護装置、電力応用、電気安全、法規、電験受験の12分野、合計119講座と順調に増加し、充実を図っている。

  16. 16. 協会設立50周年記念式典の実施と「50年の歩み」発行

    平成17年6月、協会設立50周年記念式典を実施するとともに、最近20年間の協会活動の経緯、電気事業に関わる環境の変化、電力関係施設と技術の発展の後を振り返り、また、関係法令の変遷などを取りまとめた、「50年の歩み」を発刊した。

  17. 17. 会誌「電気技術者」600号の発行

    平成19年4月号は、昭和30年7月の創刊号から数えて丁度、600号にあたるので、会誌を中心に協会活動の変遷を取りまとめた、600号記念特集を掲載した。


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付表1 - 歴代会長

創立以来の歴代会長は下表の通りである。

在任期間 氏名 就任時(勤務先)
初 代 S.29 ~ S.36 大山松次郎 東京大学教授
第2代 S.36 ~ S.38 樋口佐兵衛 (株)京三製作所社長
第3代 S.38 ~ S.40 深尾栄四郎 (財)日本電気用品試験所副理事長
第4代 S.40 ~ S.42 後藤安太郎 オリジン電気(株)取締役社長
第5代 S.42 ~ S.52 埴野 一郎 早稲田大学教授
第6代 S.52 ~ S.54 巽  良知 東海大学理事・教授
第7代 S.54 ~ S.62 蓮見 孝雄 東京電機大学理事長
第8代 S.62 ~ S.63 中岡  保 荒川水力電気(株)相談役
第9代 S.63 ~ H.9 石井 泰安 (財)日本電気用品試験所理事長
第10代 H.9 ~ H.15 児玉 勝臣 (財)発電設備技術検査協会理事長
第11代 H.15 ~ H.25 逢坂 國一 (財)原子力発電技術機構理事長
第12代 H.25 ~ R.1 竝木 徹 一般財団法人 石炭エネルギーセンター理事長
第13代 R.1 ~ R.3 中村 秋夫 国際電気保安連盟理事
第14代 R.3 ~ 現在 山口 博 (株)関電工 会長


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