【例題1】
第1図のように、抵抗負荷をΔ結線した平衡三相回路がある。図の単相電力計の指示が1kWであるとき、三相負荷の消費電力〔kW〕として正しいものは次のうちどれか。
(ア) 1.5 (イ) 1.73 (ウ)2.0 (エ)3.0 (オ)3.46
〔誤答〕
負荷をΔ—Y変換すると、1相分の電力P1は、
[kW]
したがって、3相分の電力P3は、P3=3P1=3〔kW〕
答 (エ)
〔正答〕
線電流と相電流の位相差はπ/6〔rad〕であるから電力計の指示Wは、
したがって、この回路の3相電力P3は、負荷力率が100%だから、
〔kW〕
正解は(ウ)
【例題2】
第2図のような平衡三相回路でΔ結線部分の各相の抵抗に流れる電流 I [A]として正しいものは次のうちどれか。
(ア)4.62 (イ)6.67 (ウ)8.02 (エ)11.8 (オ)33.3
〔誤答〕
3ΩのΔ結線部分の抵抗負荷をΔ—Y変換すると1Ωになるから、 相電流 I は、
〔A〕
答 (ウ)
〔正答〕
この場合、まず線電流 Il を求めると、
〔A〕
Δ結線の相電流 IΔ は、
〔A〕
答 (ア)
【例題3】
第3図の(a)の回路と(b)の回路とは等価であるという。R 〔Ω〕及び X 〔Ω〕はそれぞれいくらか。正しい値を組み合わせたものを次のうちから選べ。
(ア)R=2/13 X=3/13
(イ)R=2/13 X=5/13
(ウ)R=1/2 X=1/3
(エ)R=5/2 X=5/3
(オ)R=13/2 X=13/3
××× 効率の悪い解きかた ×××
(a)より Za=2+j3
(b)より Zb
(a)と(b)が等価であるから、次の(1)式と(2)式が得られる。
・・・・・・・(1) ・・・・・・・(2)
この2式より、(1)÷(2)を求めると、 が得られる。
このXを再び(1)式に代入すると、
したがって、 、また、 となり、答は得られるが手間がかかりすぎて、上手な方法ではない。
以下のような解きかたがあるので知っておくと便利である。
◎◎◎ 効率の良い解きかた ◎◎◎
アドミタンスY を用いて解く。
Ya
一方、Yb
ここで、Ya=Yb とおいて、実数部どうし、虚数部どうしをそれぞれ等しいと置けば、
より 、また より、
が得られる。
【例題4】
電圧12Vの電池に抵抗R1、R2、RLが第4図のように接続されている抵抗RLに供給される電力が最大となるRL〔Ω〕の値として正しいものは次のうちどれか。
(ア)7.5
(イ)10
(ウ)15
(エ)30
(オ)40
××× 効率の悪い解きかた ×××
VLはRLの両端の電圧、ILはRLを流れる電流とするときP=VLILの最大値を求める。
したがって、この式の分母、分子をRL
で割ると、
となる。ここで、一定であるから、数学の定理により、 のとき分母は最小となり、電力P
は最大値をとる。
したがって、 より、RL=7.5〔Ω〕となる。
◎◎ 効率の良い解きかた ◎◎◎ (第5図参照)
テブナンの定理を用いて、〔V〕、〔A〕、
したがって RLの消費電力P は、
となり、この式の分母は、一定であるから、 のとき分母は最小となる。
したがって、RL=7.5〔Ω〕となる。 ∴ (ア)が正解
* 同じ答を得るにも、ずいぶん計算の手間が省けることになる。