(1) ベクトルは絶対値(矢の長さ)と偏角(傾き)で表す
方向と大きさをもつベクトルは矢印で表現されるが、ベクトルの方向は空間的に考えると無数にあることになる。そこでそのベクトルを含む平面上(例えば、紙面に書かれるベクトルは同一平面上にあるといえる)で扱えば、ベクトルの位置や向きをはっきりさせることができる。したがって、第1図のように基準ベクトルに対して偏角によって、ベクトルの方向を表している。この場合、

 の文字の上に「・」が付いているが、これはドット
 の文字の上に「・」が付いているが、これはドット 
 と読み、ベクトル記号を示し、その大きさは(絶対値)は
 と読み、ベクトル記号を示し、その大きさは(絶対値)は  
 と書く。また、偏角は基準ベクトルから反時計方向に測った角度を正(+)とし、時計方向に測った角度を負(−)として扱うことにしている。
と書く。また、偏角は基準ベクトルから反時計方向に測った角度を正(+)とし、時計方向に測った角度を負(−)として扱うことにしている。(2) ベクトルは平行移動できる
第2図のように同一平面上にある、いろいろな向きのベクトルは平行移動できる。(3) ベクトルの和も差も対角線がねらいどころ
ベクトルの和を求め方(第3図)ベクトルの差の求め方(第4図)




 
    











 、
 、 
 、
 、 
 直列回路では、
 直列回路では、 
 とはならない。つまり、それぞれ位相差があるため代数和をとっても答は得られない。
 とはならない。つまり、それぞれ位相差があるため代数和をとっても答は得られない。
 を基準ベクトルとして、各素子における電圧ベクトル
 を基準ベクトルとして、各素子における電圧ベクトル 
 、
 、 
 、
 、 
 を位相差を考慮して描いてみる。次に図(c)に示すように、これらのベクトル和を求めてみると、電源電圧
 を位相差を考慮して描いてみる。次に図(c)に示すように、これらのベクトル和を求めてみると、電源電圧  
 が求められる。このようにベクトル図が描けると、数値が与えられれば、三平方の定理を用いて
が求められる。このようにベクトル図が描けると、数値が与えられれば、三平方の定理を用いて  
 の絶対値を求めることができる。
の絶対値を求めることができる。


 :誘導リアクタンス
 :誘導リアクタンス 
 〔Ω〕、
〔Ω〕、
 :容量リアクタンス
:容量リアクタンス 
 〔Ω〕
 〔Ω〕


 、
 、 
 、
 、 
 に流れる電流が一定であるからである。
 に流れる電流が一定であるからである。

 、
 、 
 、
 、 
 の間に位相差があるために、
 の間に位相差があるために、 
 とはならない。そのため、電圧
 とはならない。そのため、電圧  
 を基準ベクトルにとり、それぞれの素子の電流ベクトルを描き、(b)図のようにベクトル和を求めれば、電流
を基準ベクトルにとり、それぞれの素子の電流ベクトルを描き、(b)図のようにベクトル和を求めれば、電流  
 の絶対値が求まる。この場合も数値が与えられていれば三平方の定理で電流
の絶対値が求まる。この場合も数値が与えられていれば三平方の定理で電流 
 の値が得られる。
 の値が得られる。







 を基準ベクトルに選べば、
を基準ベクトルに選べば、 
 、
 、 
 、
 、 
 は簡単に描けることに注目し、
 は簡単に描けることに注目し、 
 を基準ベクトルと決める。
 を基準ベクトルと決める。 
 と
 と 
 の並列部分は第8図(a)のように描ける。
 の並列部分は第8図(a)のように描ける。
 は
 は 
 と同相であるから、
 と同相であるから、 
 の延長上に
 の延長上に  
 を描けばよく、図(b)のようになる。
を描けばよく、図(b)のようになる。


 と
 と 
 を合成すればベクトル図は完成する。
を合成すればベクトル図は完成する。


 の絶対値は、
 の絶対値は、 
 とはならない。
三平方の定理の前に三角関数を用いて、式をまとめておかなければならない。そこで、第9図の見方を変えて第10図のようにする。
 とはならない。
三平方の定理の前に三角関数を用いて、式をまとめておかなければならない。そこで、第9図の見方を変えて第10図のようにする。


 、
  、 
 であるから、
  であるから、
