〜終わり〜
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大まかには以下のように表すことができる。
① アーク炉負荷のような変動負荷がある場合、照明のちらつきが発生する。
② このような影響・現象を電圧フリッカという。第1図に直接式アーク加熱のイメージを示す。
③ ちらつきの尺度はΔV10(という定義)で表され、この値が0.45を超えると半数以上の人がちらつきを感じるので、負荷変動の発生源側で必要な対策をとる。
④ しかしながら、実務面では苦労が多い。
⑤ 最近ではインバータ負荷による電圧変動、高調波、高周波など課題も多い。
① 第2図(a)、(b)に電圧フリッカ時の波形例を示す。第2図(a)は10Hz、10%含有時の波形を、(b)は20Hz、10%含有時の波形である。実際は、いろいろ混じり合った波形となる。
② 後述のように照明のちらつきからすると、10Hz成分がいちばん感じる(視感度係数を参照)といわれている。
③ アーク炉も10Hz成分をもつが、インバータ機器の内、溶接機やクレーン車にも10Hz成分が多く、影響が出ている。
④ トラブル事例を調査する際、波形ベースでつかんでおくと、いざというときに助かることがある。
電圧フリッカの大きさ(尺度)はΔV10というものを用いて表し,この大きさで評価されている。
(1) ΔV10の意味合い
ΔV10とはフリッカをちらつき感の大きさで表したもので、電圧動揺を生ずる10Hz正弦波変動の振幅の実効値として表現している。
人間の目には10Hz程度がちらつきを一番強く感じ、それ以上でもそれ以下でも度合いは低くなるので、後述する視感度曲線を用いて、10Hzに換算した値を求めている。
(2) ΔV10の式
以下の式で表される。
① 第4図はシーム溶接機の操作状況を示す。
② 変動速度などはヒートコントロール、通電時間、休止時間などによって変動する。
③ 1秒間に10回程度の変動を生ずる。
④ その他、経験している例ではコンテナクレーンやプレス機などでも変動がある。
⑤ 電圧フリッカを発生しやすい機器が増大中である。
① 第5図はコンテナクレーンの負荷変動例を示す。
② 業務の内容によって電流特性が図のように異なる。1〜2分の間に多くの変動があるので、これもちらつきを感じやすいものになる。
③ クレーン使用時間とΔV10をみるとピッタリ相関がある。
④ クレーンをいつ使用するか分からないので、原因特定に苦労することがある。
① 原因究明に苦労したトラブル事例を紹介する。
② 第6図は、6kV配線線に2か所のフリッカ発生源があるときの調査例である。
③ この結果として、第7図に電圧変動と電力変動を示す。
④ この場合、A需要家は電圧が低下すると電力も低下するが、B需要家は電圧が低下しても電力をとっている。すなわち、B需要家が電圧変動発生源の主な需要家である。
このように影響の大きい箇所の選定が必要になりつつある。
① 対策方法はいろいろあるが、ここでは代表的なTCR(Thyristor Controlled Reactor)について図示する。
② 第8図にTCRの動作原理を示す。すなわち第9図に示すようにTCRによって、電源側の無効電力の合計値が零になることを示している。
③ 第10図は装置面から表している。
高調波あり、高周波あり、加えて電圧、有効電力、無効電力の実効値変動があったり、正にいろいろな波形に出合いました。実務面ではトラブルが増大している分野なので、少しでもお役に立てばと願っています。
次回は原点に戻って、「電力系統事故時の電圧・電流波形」を解説します。