〜終わり〜
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〔問題〕 この回路の合成電流I0の大きさを求めよ。
この問題自体は難しくはないが、解き方によっては手間がかかる内容をはらんでいる。まず自分で解いて要領よく解答にいたるワザを身に付ける必要がある。
具体例として以下3人の答案(いずれも正答)を紹介するので、計算過程をよく比較検討してほしい。
〔太郎君の答案〕
合成インピーダンスZは、
〔次郎君の答案〕
に流れる電流 、 に流れる電流 とすると、
〔三郎君の答案〕
〔解説〕
これらの答案を見て、解答の長さで、計算の苦労の差が想像できるような感じがすると思う。
計算に費やす労力が多いと計算ミスも増える可能性があるから労力は少ないほうがよい。結局、この問題ではアドミタンス とインピーダンス のどちらを選ぶかで解答の手間に差が出ることに気付いたことと思う。
一般に直列回路ではインピーダンスで扱い、並列回路ではアドミタンスで扱うものと考えておくとよい。例えば、次のように合成インピーダンスを求めよという問題にしても、これこそはたとえ並列回路といえどもインピーダンス の計算でいくのが本筋だと思うかもしれない。果たしてどちらが楽か、二人の解答を示すので判断は任せよう。
〔太郎君の答案〕
〔次郎君の答案〕
=
分母=
分子=
〔問題〕R、L、Cを直列にしたインピーダンスZがある。いま、この回路のCにどのような値を与えれば、Zは最小になるだろうか。ただし、電源の周波数はf〔Hz〕とする。
問題に示されるような回路のインピーダンスを最小にするには、どうしたらよいだろうか。ウッカリ、静電容量だけが可変なのだから、これをゼロにしてしまえばよいと考えたくなるかもしれないが、そうやってもだめなところが交流回路特有のおもしろい性質である。
慣れた人なら、「ああ、直列共振の条件を求める問題じゃないか」とすぐ気が付くことであろう。しかし、うっかりすると次のような答案を作ってしまう人もいるからご用心。どこがあやしいか考えてみてほしい。
〔誤った答案例〕
回路のインピーダンスZは、
ゆえに、
虚数部が0になればよいから、
、
したがって、
〔答〕
〔答案への一言〕
この答案の虚数部分jの扱いに間違いがあることに気付いただろうか。また、Cの値が負になること自体、電気の性質を考えれば矛盾することになる。
は正しいが、式の取り扱いを誤ってしまったため、このような結論になったわけである。
参考のために、
のベクトル図を示してこの式の意味を考えてみる。第4図から分かるように、虚数部 が0に近づくほど、 は短いベクトルになり、0になると とRは重なることが分かる。
このことから虚数部が0になればよいことは答案にあるように確かである。しかし、虚数をバラバラに扱ってしまってはとんでもない答になってしまう。虚数部はきちんとひとまとめにしてから0とおこう。
次にやはりアドミタンスの応用問題としてインピーダンスを最大にする場合を考えてみよう。
インピーダンスを最大にせよという指定があるため、ついインピーダンスを念頭において計算運びをしようと考えるかもしれないが、この場合もアドミタンス主体の計算運びをしたほうが、ずっと労力は少ないし、内容もすっきりする。答案例を示そう。
〔解答〕
=
合成アドミタンス は、
だから、インピーダンス が最大になるためには、アドミタンス が
最小になればよい。そのためには虚数部が0になればよい。
(答)
要点 合成アドミタンスは各アドミタンスの和になる。
この問題をもしもインピーダンスで解こうとすると、実数部分にもCが入ってめんどうな計算になってくる。