〜終わり〜
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(1) VTの鉄共振例
鉄共振はいろいろな形態で発生することが知られており、それぞれのケースで実務的な対応策が採られている。しかしながら実態としては、今でも散見されるようであり、対策や解明に苦慮している話を耳にする。ここでは具体的な事例を基に概要を説明する。
第1図はVTにおける鉄共振波形例である。
このようなVTの鉄共振については、負担を多くする(始めから抵抗分Rを接続)ことによりおおむね片付いた状況にあるが、それでもまれに発生している。
特徴のある波形(1/2調波、1/3調波など)なので、波形さえ見れば判断が付きやすい。
(2) 変圧器の鉄共振例
次に変圧器の鉄共振例であるが、第2図における電力系統例、実際の波形例を参考に、以下のように順を追って概説する。
① 第2図の電力系統で変圧器の充電を止めたとき(図の遮断器を開放したとき)、変圧器の異音、振動が発生した。
② 当初の段階では細かい情報はないので混乱したが、やがて事故記録結果などが分かり、鉄共振と判明した。
③ 変圧器容量が極端に小さく、一方で比較的長距離送電線などの特殊条件であった。シミュレーションでも鉄共振が確認された。
④ 異音や振動は発生したが、電圧の大きさ、周波数の低下具合(1/3程度)からみて変圧器の不具合はなし。
この場合も電圧波形を良く知っておけば、解明が早くなる。
第3図の系統で母線を停止した時(図の遮断器を開放、GISタイプ)、母線の記録計がV0発生を検出したことがある。事故のおそれもあるので、早速調査開始となったが、やがて記録類のデータも分かり、事故ではなく母線停止時の過渡的な電気現象と判明した。
その後、以下の①、②について調査検討が進められたが、①の「記録計側での対応」に向かったようである。
① 電圧検出器(VT)がこのような波形に応答しないようにできないか。
------ このような波形では、記録計の感度を鈍らせる方法
② VTに抵抗を入れるなど、鉄共振そのものを発生しないようにできないか。
------ 効果がないことから「記録計側の対応」に向かった
その後、昔のトラブル事例検討の中に、同様の波形があることに気付いた。私自身が「波形としての捕らえること、身に付けておくことがいかに重要か」を再確認することにもなった。
(1) 回路と電圧に関する式
まれに残留電圧が起因する事故(感電を含む)も発生している。
波形そのものではないが、地中送電線やGIS変電所などではこれらの電気設備を停止(電源オフ)した場合でも、以下のようなメカニズムで電圧が徐々に低下するので注意が必要である(第4図)。
安全・感電の問題ばかりでなく、架空・地中混在送電線の再閉路時間にも関係してくる。更にGISなどの残留電圧時間も長いので注意を要する。
(2) 残留電圧の例
第5図に2種類の地中ケーブルについて具体的な残留電圧の特性例を示す。比較的早く減衰するケースと逆に減衰が比較的遅いケースを示している。
詳細は省略するが、第6図のような地中ケーブル系統全体が停止するようなケースでも、条件によっては電圧が徐々に低下する。
電圧の大きさや周波数はQLとQCの大きさで決まるが、継続時間は地中ケーブルなどの抵抗値によって大きく変化する。詳細は省略する。
ここでも変わった波形が出ましたが、それぞれの特徴があります。電気設備が異音や振動を起こし、記録装置が事故とみなす場合でも、電力系統条件や機器の特性によって発生することがあるのです。特徴のある波形例を身に付けておき、落ち着いて間違いのない解明・対策を進めることがいかに大事か、最近でも感じ入ることがあります。お役に立つよう願っています。