最近、ELCBは感電災害の防止や漏電火災防止のために取付運用する事例が増加し、安全確保の点より大変望ましいことでありますが、反面、負荷設備側より見れば停電の機会が増加し思わぬトラブルに巻き込まれることが多くなってきました。
(1)故障点の検出
一般的に第1図のように、ELCBは分電盤の主開閉器として取り付けられている場合が多く、その場合は電源電圧が供給され、ELCBが動作していることを確認の上、分岐の負荷側開閉器を全部一旦解放の上、ELCBをリセットし再投入を行います。
つぎに、分岐開閉器を逐次投入し、ELCBが投入と同時に遮断動作をするのがあれば、これが不良回路で、この回路を除いて、先の手順でELCBを再投入した後、残余の健全回路に送電する。そこで、不良回路については、絶縁抵抗計または、テスタ-で不良箇所を検出、補修という段取りになります。
なぜ、最初から絶縁抵抗計で計らないのかということになりますが、手元に有れば良いですが、ない場合もあり、仮にあつても健全部分への送電を最優先にするには、前述の方法が一番確実で早くできます。
なお、ELCBが動作した分岐回路についはどうするのかということですが、この場合は絶縁抵抗計を準備して、絶縁不良を確認した上で、逐次負荷を切り離し不良回路または、負荷設備を突き止めます。
もしも、絶縁抵抗計がない場合は、前述の要領で負荷を全て回路より切り離した上で、分岐回路の開閉器を投入し、逐次負荷を接続して行き、もし動作するのがあれば、前述と同様に、それが不良ということになります。これらの手順を第1表に示します。
この場合は、第2図に漏電火災警報器(ELR)が動作し警報ブザ-により地絡故障の発生を知らせ停電はしないので、まず、どの変圧器の警報器が動作したかを確認し、次に示す要点にしたがい対応をします。(第2図)
まず、地絡電流が流れている警報器より、供給変圧器を確認します。
次に、漏れ電流計(クランプメ-タ)で確認、不良回路の確認調査は大型のクランプメ-タで、各分岐回路事毎に3線一括で零相電流を測定し検出します。不良の分岐回路が判明したら、分電盤に行き、前述と同じ要領で分岐回路の不良箇所調査を行い、最終的に不良と思われる回路を停止し、絶縁抵抗計により調査し、確認できたら補修復旧という段取りとなります。これらの手順を第2表に示します。
先に説明したのは、連続的に故障が継続している場合で、故障箇所は比較的容易に発見できますが、時によると断続的に発生する場合があり、この場合は極めて厄介であります。断続的に発生する理由としては、次のような場合であります。
①のケ-ブル絶縁不良や④の雨水侵入は、地絡電流が流れると事故点が流れる電流により乾燥し絶縁が上昇し、ある程度回復、地絡電流が低減しELCB動作や警報が一時停止します。しばらくするとまた外部より水分が侵入し絶縁低下となる。この繰り返しで最後は完全地絡か短絡になるというケ-スが多い。
②ある機械を運転したら地絡が出て、停止したら回復というようなことがわかればよいかがわからない場合が多い。
③の機器配線の一部損傷で、時折地絡発生というのは更に解らない。原因解明に非常に手間取る場合が多い。このような場合、どのようにして探索するかというと、第3表に示すような手段により、探索を試みとよい。
このように推理を働かせ、探偵の如く潰して行くか、同時多点測定の漏れ電流の測定により、絞り込んで行くしかなのが現状であります。
最終的に不良箇所が判明した場合の処置は、停止しても大きな問題が無い負荷であれば良いが、長時間停電しては困るという場合が出てまいります。
特に問題となるのは幹線の配線で、本格的な引換え補修は資材や人員、停電スケジュ-ルの調整等があり、即実施は難しい場合が多く応急的な対応が必要で、その場合の応急対策の要領は、次に示すような事項を参考にし、実情に適した方策で対処して頂きたい。
②の線路切替えは余り推奨できないが、地絡点を調査、補修するというのは、言うは易く行うは難しい場合が多く、時間的に制約を受けるような場合に止むを得ず行う。 なお、地絡点の調査方法としては、次に示すような方法があります。
地絡点の調査方法には、各種の方法がありますが、低圧ケ-ブルが地絡している場合は比較的簡単に、精度良く調査する方法に、低圧マーレーループ法があります。
原理はホイストンブリッジの変形です。相手端でケ-ブルの健全相と地絡相を短絡してル-プとし、測定器の摺動抵抗と対応させたものであります。
このほかに、屋内配線の漏電点に高周波信号を発信し調査するような測定器も発売されているので、これらを利用するのも良いと思います。
このような作業を実施する場合は、状況によっては高圧の充電部にも近接する恐れや、低圧充電部に工具が接触し短絡や地絡となる恐れもあるので、充電部の防護や保護具の着用等、十分配慮して頂きたい。
また、電気を供給した状況での作業もあるので、関係先への連絡、周知徹底の上で行い極力単独作業は避け、安全に留意し実施するようにして頂きたい。