a)ベルトケーブル
送配電用の電力ケーブルは明治13年トーマス・エジソンによりニュークに布設され、以来種々のケーブルが採用されたが明治26年アメリカでの発明以来、昭和40年代までベルトケーブルが11kV以下に主として使用されていた。 絶縁体として、極めて粘度の高い絶縁油を含浸したクラフト紙を使用し、三相一括鉛被を施したものである。(第1図参照)
このケーブルは各相が遮蔽されておらず、線間静電容量が存在した。 また、線間短絡を起こすこともあったが、接続が比較的に容易である利点もあった。このケーブルでは絶縁紙の沿面方向に電気ストレスがかかるため、高電圧用としては最適ではなかった。
b)SLケーブル
大正3年イギリスで発明されたケーブルで、絶縁体はベルトケーブルと同様である。各相ごとに鉛被が施されており沿面ストレスはなく、線間静電容量もない 。(第2図参照)
SLケーブルはベルトケーブルより曲げ剛性が小さく、送電容量も大きいので昭和50年代まで22kV、33kVケーブルとして主体になっていた。
a)OFケーブル
大正6年イタリヤで発明されたケーブルで、極めて粘度の低い絶縁油を含浸したクラフト紙を絶縁体とし、鉛被あるいはアルミ被を施したものである。 ケーブル内に油通路を設け、付属の給油槽により負荷変動によるケーブル内の油量変化を補償し、ケーブル内圧を一定範囲に保っている。 このためボイドの発生が無く、高電圧用に適している。 現在も超高圧用に広く使用され、特に超高圧直流線路としては専ら使用されている。単心型と3心型がある。(第3図参照)
以上の各ケーブルの接続は、紙巻、鉛工などの特殊技術の熟練工でなけば 施工できなかった。
b)CVケーブル
わが国では昭和40年ごろ3kVで使用され、最近では500kVまで広く使用されている。誘電率、誘電損失共に小さいが、繰り返しインパルス特性と、透水性に問題があったが改善されている。このため特別高圧用ではシースの下に金属箔の層を設け、その上に地絡電流路として1.2m㎡位の銅線を全周に添巻きしている。超高圧用では地絡電流対策と遮水性の徹底を兼ねてアルミ被が施される。 曲げ剛性が高いため66kV400m㎡くらいまではトリプレックス構造とし、 それ以上は単心型としている。(第4図・第5図参照)