変圧器の高圧巻線と低圧巻線の間に銅板等で、静電遮蔽を施し変圧器内部において高低圧の混触防止を図るもので、この遮蔽板には端子を設けてB種接地工事が行へるようにし、変圧器の鉄心並びに外箱ケースにはA種接地工事を行います。構造の概略を第1図に示します。
まず、第1の特徴は、変圧器の二次側に接地が施されていないので、万一低圧回路で地絡が生じても大きな地絡電流は流れず、回路の静電容量による充電電流位しか流れないので、感電災害、漏電火災、停電事故、等による被害を軽減することができます。
また、高圧側よりの雷インパルス、開閉サージなどの異常電圧の侵入に対しても混触防止板が静電遮蔽の役割を果たし低圧側への異常電圧の移行を抑制します。
さらに、コンピュータ、OA機器をはじめとする電子機器に誤動作を及ぼすノイズに対してもある程度の効果があります。 そのような観点より、用途として次のような設備に使用されております。
* 防爆構造変圧器・・・・危険なガス蒸気を扱う工場
* 接地することのできない低圧回路
* 医療用機器
* 半導体電力変換器用
* UPS用
* 制御用電源
* 情報機器用電源変圧器
この変圧器は構造上より製作費は高くなり、静電遮蔽を行う関係より機器損失もわずかに増加します。その他、次の各点について留意し運用していただきたい。
① 負荷供給配線について
負荷供給配線が屋外に亘る場合には、電気設備技術基準・解釈により、次の如く行う必要があります。
一 低圧電線は1構内だけに施設すること。
二 低圧架空電線路又は低圧屋上電線路の電線は、ケーブルであること。
三 低圧架空電線と高圧又は特別高圧の架空電線とは、同一支持物に施設しないこと。
ただし、高圧又は特別高圧の架空電線がケーブルの場合はその限りでない。
② 地絡保護について
混触防止板付き変圧器では、低圧側で1線地絡が生じても、地絡電流は極めて少ないので、通常の変圧器供給回路のように漏電遮断器を設けてもその儘では動作は致しません。 そこで地絡が発生した場合には、地絡の故障表示を行い早急に不良箇所を取り除く必要 があります。 地絡検出警報回路の事例を第2図に示すますので参考にしていただきたい。
このほか、高抵抗を直列に接続した表示灯または、電圧継電器を線間に接続し、その中間点を接地することにより地絡時に警報を発報すると言うような事例もあります。