損失の計算をする場合、現在の各変圧器の負荷曲線がわからないと厳密な計算はできません。ここでは、次のような条件を仮に設定し試算してみます。
① 負荷容量は、200kVAの三相変圧器で負担できる180kVAとする。
② 毎日12時間だけ①の負荷がかかる。
③ 現在の負荷は等分に負担しているものとする。
無負荷損は負荷に関係なく24時間発生し負荷損は電流の2乗に比例する。1日当たりの損失(Wh)は別表の変圧器特性データをもとに計算すると、第1表のようになります。この表からわかるように、無負荷損と負荷損の割合は大きく、負荷損は定格近くになると急増するので変圧器の合計損失は多少減少するが殆ど差がない結果となる(統合による減少損失は現在の約2%)。したがって、負荷の実態に合わせて、試算をしないと差異が見極め難い。
(1) 仮に損失が低減できたとしても、統合に要する工事費を考慮し、総合的に、慎重に経済性を検討する必要があります。
(2) 統合により三相変圧器の負荷増加による温度上昇は大幅に増大し、寿命や信頼性にも影響が出てきます。
(3) 動力用変圧器が2組あるということは、負荷容量への対応だけでなく、負荷系列を考慮し分離するような場合有利となるので、将来の負荷動向も考慮し慎重に検討して頂きたい。
(4) 統合工事を行う場合、相回転の確認が重要です。施工前と工事完了後に相回転計でしっかりと確認して下さい。
(1) 休止変圧器の保全問題ですが、屋外設置など周囲の環境条件が悪いと腐食の心配があります。今回の場合は屋内設置なので、この点は先ず問題はありません。
(2) 絶縁油も温度上昇や温度変化が大幅に低減するので、劣化、吸湿の両面で使用時より休止時の方が環境上は有利な状況になります。
(3) 以上のことから、通常運転の変圧器と同様に日常的な点検管理を行い、何か問題が出てきた時にその都度対応すればよいといえます。