~終わり~
■ぜひアンケートにご協力下さい■
漏電遮断器の構成部品は第1図に示すように配線用遮断器の機能に地絡電流に応動して遮断器を引き外す漏電引外し装置、地絡事故で動作したことを表示する漏電表示装置、動作することを確認するためのテストボタン装置などが組み込まれたものである。電流動作形漏電遮断器の動作説明を第2図に示す。地絡が発生すると零相変流器(ZCT)を貫通する電線に流れる電流差Ig(=Il-Ie)に応じてZCTの鉄心にIgによる磁束Φが発生し、二次巻線に電圧Vgが誘導される。検出部に現れた電圧を増幅して引外し装置が動作し、開閉機構の引外しが行われ漏電遮断器が開路する。
微小な地絡電流を検出するための変流器で、一般の変流器(CT)とは区別して考える必要がある。材質も高透磁率の特殊材料のパーマロイが主流である。構成を第3図に示すが、パーマロイ鉄心、主回路電流を流す一次導体、鉄心に巻かれた二次巻線が基本である。一次導体の各相電流により発生する磁束を鉄心がベクトル合成し、各相の磁束の差分に応じた磁束により二次巻線に起電力が発生する。
地絡電流は数mAから数千Aまで変化するので、選択遮断方式を採用する場合には定格感度電流だけの差では協調がとれない。第4図は時延形による保護協調を示すが、A点で地絡事故が発生すると、NV4は高速形なので0.1秒以内に動作する。上位にあるNV3は動作時間が0.3秒の時延形なので、分岐のNV4の全遮断時間より動作時間が長いので完全に選択遮断が得られる。
配線用遮断器の保守点検に加え漏電遮断機能確認のためテストボタンによる方法と定期試験では漏電遮断器用試験器を使用して感度電流試験や動作時間試験が行われる。
(1)配線用遮断器の保守点検
配線用遮断器の寿命は頻繁な開閉、過電流トリップなど使用条件によって左右されるほか、長期使用による絶縁性能の劣化、機構の損耗や潤滑油切れによる開閉操作障害、動作特性の変化、過電流遮断や腐食性雰囲気による接触抵抗の増加、周囲温度や自身の発熱による絶縁物の変形に基づく機構上の障害、端子その他の部分のねじの緩みによる通電容量の低下などがあり、それらは単独ではなく相互に影響しあって寿命を短縮する。このため配線用遮断器の点検は定期点検のほか、異常動作したとき及び短絡電流を遮断したときに行う臨時点検がある。
(a)接触抵抗測定
入出力端子間の接触抵抗測定はブレーカの温度上昇が高いときや短絡などの大電流を遮断したとき、及び長期間操作していないブレーカの場合実施し、異常な温度上昇やミストリップなどトラブルを未然に防止する。測定方法は第5図に示すようなコンタクトチェッカを用い直流電流(ブレーカの定格電流が30A以上の場合は30A、30A未満の場合はその定格電流)を流し、電圧降下法によりR=mV/A〔mΩ〕で接触抵抗を求める。測定した結果がメーカーで推奨する限界抵抗をオーバーするときは接触面が荒れているか汚損があるので、サンドペーパーまたはヤスリで研磨清掃し、基準値内に収める。
(2)漏電遮断器の保守点検
(a)感度電流試験
第6図に示す漏電遮断器用試験器により以下の手順で試験する。
① 漏電遮断器を開放する。
② 入力電圧切換スイッチを回路電圧に合わせ、試験器各スイッチを感度電流測定相応のレンジに合わせる。
③ 試験用コードを接続する。
④ 漏電遮断器を投入する。
⑤ 試験器のスイッチを入れ、電流調整器で徐々に試験電流を増加すれば漏電遮断器が動作するので、そのときの電流値を読み取る。
[判定]
・感度電流値は定格感度電流の50%以上で定格感度電流以下で動作すれば良好である。
(b)動作時間試験
感度電流試験と接続方法は同じで、定格感度電流になるように電流を設定したあと動作試験を行い、時間計の指示値で動作時間を読み取る。
[判定]
・高速形は0.1秒以下であること
・時延形は0.1秒を超え2秒以内
・三菱 ノーヒューズ遮断機・漏電遮断器技術資料集
・寺崎電気産業 TemBreak ノーヒューズブレーカ・漏電遮断器