~終わり~
■ぜひアンケートにご協力下さい■
(1)裸電線の禁止
屋内配線に用いる電線は、原則として裸電線は禁止されている(電技省令第57条第2項、解釈第144条)。しかし、次のような場合はやむを得ない場合として認められている。
① 電気炉用電線、被覆絶縁物が腐食する場所の電線及び取扱者以外のものが出入りできないようにした場所に施設する電線をがいし引き工事により展開した場所に施設する場合
② バスダクトの中の電線
③ ライティングダクトの電線
④ がいし引きした移動用機械のための接触電線
⑤ 遊戯用電車の接触電線
⑥ 特別低電圧照明回路の電線
(2)屋内配線の最小太さ
屋内配線に用いる電線の最小太さは、直径1.6mmの軟銅線以上の強さ及び太さのあるもの又は断面積1mm2以上のMIケーブルでなければならないことになっている。しかし、電流容量の少なくてすむ電光サイン装置、出退表示灯装置、制御回路そのほか定められている特殊なものについては、例外が認められている(解釈第146条)。
低圧屋内配線の主要な工事方法について、基本的な事項は次のとおりである。
(1)がいし引き工事(解釈第157条)
① 電線には、絶縁電線(屋外用ビニル絶縁電線及び引込用ビニル絶縁電線を除く。)を用いる。
② 電線は、人が触れないように施設する。ただし、300V以下の電線は、人が容易に触れないように施設すればよい。
③ がいしは、絶縁性、難燃性及び耐水性のものを使用する。一般にはノップがいしなどを用いる。
④ 電線が造営材を貫通する場合は、その貫通する部分の電線を電線ごとにそれぞれ別個の難燃性及び耐水性のある絶縁管に収めること。ただし、150V以下の電線を乾燥した場所に施設する場合は、貫通する部分の電線に耐久性のある絶縁テープを巻いてもよい。
⑤ 電線相互の間隔や電線と造営材との間隔は、第1表のとおりである(第1図)。
(2)合成樹脂管工事、金属管工事及び可とう電線管工事(解釈第158、159、160条)
これらの工事はいずれもいちばんよく用いられる工事である。基本的な事項は次のとおりである。
① 電線は、屋外用ビニル絶縁電線以外の絶縁電線で、より線であること。ただし、短小な管に収める場合や直径3.2mm(アルミ線は4mm)以下の場合はより線でなくてもよい。
② 管内では、電線に接続点を設けない。
③ 湿気又は水気のある場所では、防湿装置を施すこと。
④ 管、ボックス、付属品は電気用品安全法の適用を受ける。
⑤ 管の端口は、電線の被覆を損傷しないようにすること。
⑥ 金属管及び可とう電線管を接続する場合は、管相互及び管とボックスなどと電気的に完全に接続すること。
⑦ 管やボックスなどの金属製のものには、300V以下の場合はD種接地工事(省略できる例外あり。)、300Vを超える場合はC種接地工事(人が触れるおそれがない場合はD種接地工事でもよい。)を施すこと。
⑧ その他、管の厚さ、管の支持点間隔や管の接続の方法について詳細に定められている。
(3)ケーブル工事(解釈第164条)
ケーブル工事は、電線を直接造営材に固定して施設する工事方法である。基本的な事項は次のとおりである。
① 重量物の圧力又は著しい機械的衝撃を受けるおそれがある箇所に施設する場合は、適当な防護装置をする。
② 電線を造営材の下面又は側面に沿って取り付ける場合は、キャブタイヤケーブルの場合は60cm(断面積8mm2以上の場合は1m)以下、ケーブルの場合は2m以下の支持点間隔とし、それぞれの被覆を損傷しないようにする。
③ キャブタイヤケーブルは、3種又は4種のキャブタイヤケーブル、クロロプレンキャブタイヤケーブル又はクロロスルホン化ポリエチレンキャブタイヤケーブルであること。300V以下の場合で、展開した場所や点検できるいんぺい場所に施設する場合は2種のキャブタイヤケーブル、クロロプレンキャブタイヤケーブル又はクロロスルホン化ポリエチレンキャブタイヤケーブルが使用できる。
④ 電線を収める防護装置には、次により接地を施すこと。
(ⅰ) 300V以下のケーブル工事の場合は、D種接地工事(省略できる例外あり。)
(ⅱ) 300Vを超えるケーブル工事の場合は、C種接地工事(人が触れるおそれがないようにする場合は、D種接地工事でもよい。)
木造の造営物で、金属管工事の管や付属品、ケーブルの被覆などの金属製部分とメタルラス、ワイヤラス又は金属板とが電気的に接触していると電線の絶縁被覆の劣化などのため、第2図のように漏電が起こったときに、柱上変圧器のB種接地工事の抵抗を通じて漏れ電流が流れ、火災などの事故を起こすことが多い。この防止法として、メタルラスに漏れ電流が流れないように、配線工事の金属部分には絶縁を施すように規定されている(解釈第145条)。第3図は金属管工事とバスダクト工事による低圧屋内配線がメタルラス張りの木造造営材を貫通する場合の工事の一例である。
屋内には、屋内配線のほかに、弱電流電線(3・2節〔1〕2.参照)、光ファイバーケーブル、水道管、ガス管、空気管、蒸気管などの金属体が施設されているが、これらに漏電した場合はいろいろな障害が予想されるので、屋内配線とこれらのものとは離隔しておく必要がある。
電気設備技術基準は、第62条で次のように定めている。
第62条 配線は、他の配線、弱電流電線等と接近し、又は交さする場合は、混触による感電又は火災のおそれがないように施設しなければならない。
2 配線は、水道管、ガス管又はこれらに類するものと接近し、又は交さする場合は、放電によりこれらの工作物を損傷するおそれがなく、かつ、漏電又は放電によりこれらの工作物を介して感電又は火災のおそれがないように施設しなければならない。
具体的には、解釈に電線と弱電流電線、管などとの離隔距離などが定められている。
なお、電線と弱電流電線を同一の線ぴや管に入れることは弱電流電線が制御線の場合であって特別に定められた工事をする場合以外は禁止されている(解釈第167条第3項)。
(1)がいし引き工事の場合の離隔
この場合の離隔距離は、原則として10cm(電線が裸電線である場合は30cm)以上でなければならない。ただし、300V以下の場合は低圧屋内配線と弱電流電線などとの間に絶縁性の隔壁を堅ろうに取り付ける場合や、十分な長さの難燃性及び耐水性のある堅ろうな絶縁管に収める場合は、この限りでない(第4図)。
(2)合成樹脂管工事などの場合の離隔
低圧屋内配線を合成樹脂管工事、金属管工事、金属線ぴ工事、合成樹脂線ぴ工事、可とう電線管工事、金属ダクト工事、バスダクト工事又はフロアダクト工事により施設する場合は弱電流電線が光ファイバーケーブルと線ぴや管、ダクトなどと接触しなければよいことになっている(第5図)。
屋内配線相互が接触することは、短絡などの原因にも、また電圧が異なる場合は低い電圧の配線に接触される機器の絶縁破壊にもなりかねない。そこで屋内配線相互及び屋内配線と管灯回路の配線の離隔距離は、第2表のとおり規制されている(解釈第167条第1項)。