〜終わり〜
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(a)負荷側からみた特性による分類
インバータは、負荷側からみた特性によって2種類に分けることができる。
(1)電圧形インバータ
電圧形インバータは、サイリスタまたはトランジスタなどの半導体スイッチを用いて直流をスイッチングし、方形波の交流電圧を供給する方式である。
第1図にサイリスタを用いて構成した電圧形インバータの回路構成を示す。交流出力側からみるとインバータのインピーダンスが低くなるので、電圧源とみなすことができる。
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電圧形は、サイリスタと並列に帰還ダイオード(フリーホイリング・ダイオード)を接続し、誘導負荷の遅れ電流成分を直流電源に帰還させている。
このインバータは、回生運転時に直流電流が反転するが、帰還ダイオードがあるので単独では回生動作ができない。このため電圧形インバータは、回生用整流器を別に用意する必要がある。
(2)電流形インバータ
電流形インバータは、直流側にリアクトルを接続しているため、交流負荷側からみた回路のインピーダンスが高くなり、電流源とみなすことができる。
サイリスタを用いた電流形インバータの回路構成を第2図に示す。
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電流形の出力は、電流波形が方形波であり、電流が一方向しか流れない。このため電圧形で必要であった帰還ダイオードは不要である。
(b)転流方式による分類
サイリスタなどの電力用半導体素子を用いてインバータを構成した場合、入力が直流なのでオン制御だけでなくなんらかの方法を用いてオフ制御をしなければ交流に変換することができない。このオフ制御することを転流という。インバータをこの転流方式で分類すると、自励式と他励式に分類することができる。
(1)自励式
自励式には、コンデンサやリアクトルで転流に必要な電圧を発生させる強制転流方式と、ゲート・ターンオフ(GTO)サイリスタなど素子自体に自己消弧能力がある半導体素子を用いた自己転流方式がある。自励式は、任意の周波数の交流を発生させることができる。
(2)他励式
他励式は、交流電源や負荷電流によって転流制御する方式である。交流側(電力変換側)に確立された交流電源があって、この電源から転流に必要な電圧を受けて順次、転流・消弧をする。したがって、他励式インバータが発生する交流は、負荷の交流電源の周波数と一致する。
コンバータは順変換装置とも呼ばれ、装置を構成する回路は整流回路と呼ばれる。
(a)単相半波整流回路
単相半波整流回路は交流1周期の半周期間分を直流に変換する回路である。第3図に回路構成を示す。
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この回路は、サイリスタを用いて0≦α≦πの範囲の任意の角度でターンオンすることができる。交流電源の位相がπ〜2πの範囲ではサイリスタに逆方向電圧が加わりターンオフする。
単相半波整流回路の直流平均電圧Edは(1)式で求めることができる。
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整流素子にダイオードを用いた場合の直流平均電圧は、(1)式の制御角αに0°を代入すればよい。
(b)単相全波整流回路
単相全波整流回路は、交流1周期分のすべてを利用する整流回路でブリッジ整流回路とも呼ばれる。この整流回路は、変圧器の利用率が高く、整流素子に加わる逆方向電圧を低くできるという特徴がある。第4図に単相ブリッジ整流回路の構成を示す。
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ブリッジ整流回路の負荷が誘導性の場合、電流の位相が遅れるため次のサイリスタがオンするまで電流が流れ続ける。したがって、ブリッジ整流回路は、負荷によって直流平均電圧が変わる。直流平均電圧をEdとすると、次のようになる。
①抵抗負荷の場合
(2)式に示すように単相半波整流回路の2倍になる。
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②誘導性負荷の場合
次のサイリスタがオンするまで流れ続けるので、抵抗負荷よりも小さくなる。
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(c)三相半波整流回路
三相半波整流回路の構成を第5図に示す。第5図(b)はBの電圧がAの電圧を上回ったときに制御角αでターンオンしていることを表している。
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三相半波整流回路の直流平均電圧Edは、(4)式で求めることができる。
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(d)三相全波整流回路
三相全波整流回路の構成を第6図に示す。第6図(b)はBの電圧がAの電圧を上回ったときに制御角αでターンオンさせる様子を示している。
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三相全波整流回路の直流平均電圧Edは、(5)式で求めることができる。
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サイクロコンバータは、入力周波数より低い周波数の交流を得ることができる電力変換装置である。
(a)定比式サイクロコンバータ
定比式サイクロコンバータは、整流回路2相を一定間隔ごとに交互に動作させることによって、入力周波数より低い周波数の交流電圧を得る装置である。回路構成は簡単である反面、出力波形がひずむ。
(b)連続式サイクロコンバータ
連続式サイクロコンバータは、正・負の2群のコンバータで構成され、負荷電圧の平均値が正弦波になるように制御角を変化させる。転流には電源電圧が用いられている。
連続式サイクロコンバータは、大容量の交流電動機の可変速駆動用電源として使われる。
直流チョッパは、直流電力を電力用半導体素子でスイッチング(オン・オフ)することで直接、直流電力を制御する方式である。
第7図に直流チョッパの原理図を示す。スイッチング素子Sをスイッチングすることによってパルス状の出力電圧が得られる。したがって、直流電圧の平均値は破線で示すようになり、直流電圧を制御することができる。断続的に流れる電流を平滑するには、リアクトルLとダイオードDを挿入する。
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例題1
電力変換装置に関する次の記述のうち、誤っているのはどれか。
(1)交流電力を直流電力に変換する装置を順変換装置という
(2)一定周波数の交流電力を入力するとより低い周波数の交流電力が得られる装置をサイクロコンバータという
(3)電流形インバータは電力回生ができない
(4)電圧形インバータの出力電圧制御には主として PWM方式が用いられる
(5)入力の直流電力をサイリスタやトランジスタなどの電力用半導体素子でスイッチングして直流出力電力を制御する装置を直流チョッパという
[答](3)
例題2
サイリスタを用いた単相ブリッジ整流回路に単相100Vの交流電源を接続し、位相制御角30度で整流して10Ωの抵抗負荷に加えるとき、流れる平均電流は何アンペアになるか。正しい値を次のうちから選べ。ただし、整流回路のインピーダンスおよび整流素子の電圧降下は、無視するものとする。
(1)6.2 (2)8.4 (3)9.5 (4)12.1 (5)14.1
[答](2)