〜終わり〜
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きわめて大きな電圧増幅度を有するオペアンプ(演算増幅器)を用いて増幅回路を作ることができる。第1図は非反転入力端子に入力された信号を増幅して出力する非反転増幅回路の一例である。非反転増幅回路は入力信号(入力電圧vI)と出力信号(出力電圧vO)の位相が同相であることから同相増幅回路とも呼ばれている。
第1図のオペアンプの入力インピーダンスZI = ∞〔Ω〕、電圧増幅度AV = ∞とし、入力電圧をvI、反転入力端子に接続された抵抗RSに現れる電圧(帰還電圧という)をvFとすると、差動入力電圧は であるから出力電圧vOは、
となる。この式を変形するとオペアンプを特徴付ける興味ある式が得られる。つまり、
である。(2)式が意味するところは、非反転入力端子と反転入力端子の電圧差は、0〔V〕であり、また(3)式は、入力電圧vIと帰還電圧vFが常に等しいことを表している。言い換えれば、非反転入力端子と反転入力端子は短絡した状態と等価であることを意味している。これを仮想短絡またはイマジナルショートという。
したがって、反転入力端子に接続された抵抗RSに流れる電流をiSとすれば、次式が成立する。
また、入力インピーダンスZI = ∞〔Ω〕であるから、iSは反転入力端子に流れ込まない。よって、出力端子と反転入力端子との間に接続された帰還抵抗RFにもiSが流れる。したがって、出力電圧vOは、
となる。
(4)式、(5)式から電圧増幅度AVを求めると次式のように求まる。
ちなみにRF=1〔MΩ〕、RS=10〔kΩ〕とすれば、
となり大きな電圧増幅度になることが分かる。
第2図に示すように非反転入力端子を接地し、反転入力端子に信号を入力する回路を反転増幅回路という。
この増幅回路も前述したようにイマジナルショートによって反転入力端子と非反転入力端子とが短絡される。つまり、非反転入力端子が接地されているので反転入力端子も接地されたことになる。よって、
となる。したがって、出力電圧vOは、iSが反転入力端子に流れ込まないことから次式が成立する。
ゆえに電圧増幅度Avは、
と求まる。(9)式の負号は入力電圧(入力信号)vIと出力電圧(出力信号)vOの位相が逆(逆相)であることを表している。このことから反転増幅回路は逆相増幅回路とも呼ばれている。
また、この増幅回路の入力インピーダンスZIはイマジナルショートによって、
となる。つまり反転増幅回路の入力インピーダンスはやや低いという特徴がある。
第3図に示すように複数の入力信号(入力電圧)を抵抗器を介して反転入力端子に与えると、これらの電圧の和に比例した電圧が出力される。このような回路を加算増幅回路という。
第3図に示した回路は非反転入力端子を接地しているから、イマジナルショートの考え方を適用すれば次式が得られる。
オペアンプの入力インピーダンスはZI= ∞〔Ω〕であるから、I1、I2、I3は反転入力端子に流れ込まず、すべて帰還抵抗RFに流れる。よって、出力電圧vOは、
となる。ここで、R1=R2=R3=Rとすれば、出力電圧vOは、
となり、加算増幅回路は入力電圧の和に比例した出力電圧(負の電圧)が得られることが分かる。特にRF=Rとすれば、入力電圧の和を負の出力電圧として得ることができる。
第4図に示す回路は二つの入力信号(入力電圧)の差電圧を出力する。この回路を減算増幅回路という。
第4図で出力電圧vOは、
となる。また、反転入力端子の電圧をVPとすれば、出力電圧vOは次式となる。
このVPは、
であり、また、
が成立する。(19)式を(17)式に代入すると、
が得られる。次いでこの式に(18)式を代入すれば次式が得られる。
ここで、R1=R2 =Rとすれば(21)式から出力電圧vOは、
となる。(22)式が示すように減算増幅回路は、二つの入力電圧の差に比例した電圧を出力する。特にRF =Rとすれば、入力電圧の差に等しい出力電圧を得ることができる。