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高圧・特別高圧進相コンデンサ、直列リアクトルなどに関する規格は、従前3種類のJIS規格から構成されていたが、平成10年に一つのJIS規格(JIS C 4902)に統合され、大幅な改正が行われた(第1図)。
第1図 高圧進相コンデンサ(左)と直列リアクトル(右)の外観の一例
この改正によって進相コンデンサは直列リアクトルを取り付けて使用することを原則とし、進相コンデンサの定格電圧は直列リアクトルによる端子電圧上昇分を考慮した電圧とした。また、コンデンサの定格容量は直列リアクトルによる進相分の減少を考慮に入れ、コンデンサの定格設備容量(コンデンサの設備全体の進相容量(実際の進相分))に直列リアクトルの定格容量を含めるものとした。
これらの関係を現行・旧規格高圧進相コンデンサ100 kVarを例に取り上げ、対照して説明するとおおむね以下のようになる。
旧JIS規格の進相コンデンサは直列リアクトルとの接続について全く考慮されていない。旧規格の定格電圧6,600 V、定格容量100 kVarの進相コンデンサに、定格容量6 kVar(6%)の直列リアクトルを第2図のように接続したとき、
進相コンデンサのリアクタンスZc Zc=−jXc〔Ω〕
6%直列リアクトルのリアクタンスZl Zl = j 0.06Xc〔Ω〕
とするとき、
( 1 ) 各機器の端子電圧
・進相コンデンサの相電圧 Vc / =(6,600/ ) | (−jXc )/(j 0.06Xc−jXc ) |
≒7,020/ V
したがって、線間電圧Vc≒7,020 V
・直列リアクトル両端子電圧 Vl =(Vc / )×0.06≒243 V
ただし、旧JIS規格では表示上(6,600/ )×0.06=229 V
となっている。
( 2 ) 機器の実効容量
実効容量(皮相電力)は機器に加わる端子電圧の二乗に比例するので、
・100kVar進相コンデンサの実効容量 100×(7,020/6,600) 2≒113 kVar
・6%直列リアクトルの実効容量 113×0.06≒6.78 kVar
よって、旧JIS規格の直列リアクトル付進相コンデンサ(進相コンデンサ定格容量100 kVar、6%直列リアクトル定格容量6 kVar)による進相コンデンサの実効設備容量は、106 kVar〔=(進相コンデンサの実効容量113 kVar)−(直列リアクトルの実効容量6.78 kVar)〕になっていた。
現行JIS規格の直列リアクトル付き進相コンデンサ(進相コンデンサの定格容量106 kVar、6%直列リアクトルの定格容量6.38 kVar)による進相コンデンサの公称(定格)設備容量は、100 kVar〔=(進相コンデンサの定格容量106 kVar)−(直列リアクトルの定格容量6.38 kVar)〕となっている。旧・現行JIS規格直列リアクトル付き高圧進相コンデンサ(100 kVar例)を集約し、対照表で示すと第1表のようになる。